コロナワクチン買いすぎでは アストラ「不人気」でもノババックス追加

   新型コロナウイルスのワクチンについて、「費用対効果」を問う声が出始めている。これから何回の接種が必要で、そのためにはどれだけの量を確保すべきか――。

   巨額のコストがかかっているにもかかわらず、オミクロン株では接種の遅れなどで十分な成果を発揮できなかった。一部の不人気ワクチンは、大量購入の契約をしたものの、使用のアテがなく、キャンセルしたことが明らかになっている。

一部の不人気ワクチンは、使用のアテがなく
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2兆円を超える購入費

   朝日新聞は2022年4月8日の朝刊で、「ワクチン 費用対効果は」という記事を掲載している。

   それによると、政府はこれまで、予算の予備費から計2兆3356億円を5回に分けて使い、1~4回目の接種用の計8億8200万回分のワクチンを購入してきた。

   内訳はファイザー社製が3億9900万回分、モデルナ社製が2億1300万回分、英アストラゼネカ社製が1億2000万回分、米ノババックス社製が1億5000万回分だ。

   購入費を購入量で単純に割ると、1回分のワクチン価格は平均2648円となるという。

   ファイザー、モデルナ両社製の使用状況は、1~2回目の余りは3回目に活用中だが、3~4回目の接種率が低いままだと大量に余り、有効期限9か月を迎える可能性がある。

   ノババックス社の1億5000万回分は、今月18日に薬事承認され、主に3回目に使う予定だが、どれだけ接種希望者がいるかは厚労省も見通せていない、と同紙は報じる。

「廃棄報道」のあと「キャンセル」

   とりわけ衝撃的なのは、政府が英アストラゼネカ社から購入した1億2000万回分のワクチンのうち、半分の約6000万回分が使われていないこと。大量に廃棄される可能性があると、朝日新聞が7日にデジタル版で報じた。

   アストラゼネカ製は、副反応として血栓症の報告があり、国内では接種が広がらなかった。 このため政府は約6000万回分を上限として海外諸国への供与を進めているが、残りの約6000万回分については、次々に6か月の有効期限を迎えているとみられ、今後大量廃棄される可能性もあると同紙は指摘していた。

   関連してFNNプライムオンラインは11日、アストラゼネカ社製の新型コロナウイルスワクチンについて、政府は、購入契約の3分の1にあたる4000万回分をキャンセルしたと報じた。

   しかし、キャンセル料については「秘密保持契約がある」として明らかにしていないという。

国産ワクチンも供給準備

   一方で新たなワクチン契約の動きは続いている。日経新聞によると、国内4例目となるノババックスのワクチンは武田薬品工業が2021年12月に承認申請した。武田が技術移管を受け、国内での生産や流通を担う。政府は22年初めからおおむね1年間に1億5000万回分の供給を受ける契約を武田と結んでいるという。

   さらに国内開発のワクチンがある。塩野義製薬は3月4日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、追加接種向けの臨床試験で、米ファイザー製と同等の効果を確認したと発表した。まず追加接種向けで承認申請を目指す。5月以降の供給開始へ生産準備も進めているという。

   日経新聞によると、このほか田辺三菱製薬は子会社がカナダで承認を取得した植物由来のワクチンについて、7~9月の日本での承認申請を目指して治験を進めている。第一三共とKMバイオロジクス(熊本市)は22年中の実用化を目指している。

   朝日新聞によると、政府はすでに3月中旬、1億4500万回分のワクチンを米ファイザー、米モデルナ両社から購入すると発表している。

   新型コロナウイルスに対するワクチンの有効性は実証されているが、3回目は、接種自体が進んでおらず、4回目の接種があるかどうかも分からない中で、購入契約は先手を打つ形で進んでいる。新株が広がってからでは調達が間に合わないという難しさがあるが、購入費があまりにも巨額なため、朝日新聞によると、厚労省のワクチン分科会では、「どれだけの費用をかけ、どれだけの効果をめざすのか議論すべきだ」との意見も出ているという。

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