メタバースの大空を戦闘機で飛ぶ 敵機発見、撃て!でも相手が強すぎる

   メタバース(仮想空間)プラットフォーム「VRChat」には、国内外のクリエイターが作ったワールドが無数にある。今回取り上げるのは、「(SinglePlayer)(Preview) Project Fairy EP1 ConceptWorld」と題されたワールドだ。海外のユーザーが作った。戦闘機を操ってコンピューターとの戦いを楽しめる。

   2023年2月11日に公開された。これは小説・アニメ「戦闘妖精・雪風」をモデルにしたワールド。架空の惑星「フェアリィ」における、人類と正体不明の敵「ジャム」の戦いを描く航空SF作品だ。

航空SF「雪風」シリーズをモデルにした「(SinglePlayer)(Preview) Project Fairy EP1 ConceptWorld」
Start Episodeを選び、ゲームが始まる
世界観に没入できるようなラジオ音声が流れてくる
「OBJETIVE」という地点に向かい、ミッションをこなしていく
敵5機が出現 戦闘開始
左下の戦闘機図面は被弾箇所ごとに赤くなる
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ストーリー没入できる導入

   「Project Fairy EP1 ConceptWorld」に入ると、まずユーザーは暗い格納庫の中に降り立つ。架空の戦闘機「スーパーシルフ」1機が設置されている。

   ワールド内の説明によると、これはあくまでテスト版のワールドであり、プロジェクトとしては全体の「5%の進捗状況」とのことだ。英語のほか日本語の説明文もあり、ある程度操作方法が解説されている。コックピットに搭乗し、モニターのメニューにある「Start Episode」の項目を選択するとゲーム開始だ。

   格納庫全体が明かりで照らされ、警報が鳴り響く。プレーヤーの機体が、外に向かって自動的に運ばれていく。同時に、「先日、マクマード基地を襲撃した組織については、詳しいことは全く判明しておらず、一部にはロス氷湖で発見された巨大な気流体との関係を指摘する声も...」と、ラジオの音声が流れてくる。ストーリーに没入できる演出だ。

   機体はエレベーターを上がり、滑走路に出る。エンジンスタートボタンを押すと、機体高度やミサイルの残弾数といった情報画面が視界に出現する。一気にパイロット気分に浸れる。

デスクトップモードで再チャレンジ

   VRコントローラーの左手でスロットルを開きつつ、右手で操縦桿(かん)を手前に倒せば離陸する。とはいえ記者は操作に慣れず、浮き上がっては機体がぐるぐると回転してしまい、地面に墜落してしまった。

   デスクトップモードなら、キーボードで操作できる。こちらで再チャレンジだ。目的地に向かって山の上を飛行していると、同僚キャラクターから無線が入り、周辺を調査してほしいと指令が入る。

   調査を続けていると突然、敵「ジャム」の航空機が5機出現する。画面上に「B-3、エリア内に5機のジャムを確認。排除しろ」とメッセージが出る。いよいよ戦闘開始だ。

   ところが戦闘も想像以上に難しく、うまくロックオンができない。敵5機は焦る記者に対し、お構いなしに攻撃をする。

   敵ミサイルの接近を示す警告音やアラートメッセージがひっきりなしに出現し、何度もミサイルが直撃。画面左下にはこちらの被弾状況を戦闘機のパーツごとに示してくれるが、機体の図面は全部が真っ赤だ。動力部を壊されるとエンジン音が止んだ。推力を失った記者の機体は、なすすべもなくゆるやかに墜落していった。今回はミッション失敗だ。

エピソード性のあるゲーム体験

   このワールドを制作した、インディーゲーム(個人や小規模な組織で制作するゲーム)開発者のZhakami Zhako氏に取材した。フィリピンのダバオ市に在住しており、普段はソフトウェアエンジニアとして働いている。ワールドを制作した理由を聞くと、「自分のコンセプトやアイデア、楽しみをほかの人に共有したいからです」と話す。

   Zhako氏は先述の「雪風」シリーズが「大好き」と語る。そこで、作中の機体の操縦体験や、いつ「ジャム」がおそってくるかわからない不安感をVR上で再現し、他のユーザーに体験してもらいたいとの思いがあったとのことだ。

   コンセプトは、物語やミッションなどを有した「エピソード性のあるゲーム体験」ができるワールド作りだ。有名フライトシューティングゲーム「エースコンバット」シリーズからも操作性についてインスピレーションを受けている。さまざまなエピソードを用意したいと考えているが、現状は記者がプレーしたエピソード1種類しかなく、開発の途中だ。

   3Dモデルの航空機を飛行させるとのシステムは、インターネット上で販売されているものを購入している。一方で、ミサイルの挙動やストーリーの管理、戦闘機モニター内のメニュー画面といった多くのシステムは自身で開発した。

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