食べるの大好き40代がトイレであ然 「白いうんち」で即手術に

【連載】お腹トラブル天国と地獄 ~運命の選択~

   40代女性の智子さんは、会社員として事務の仕事をこなしながら、副業でグルメライターをしています。小さい頃から食べることが大好きで、今でも生活の中心。グルメライターはまさに天職で、揚げ物、スイーツ、お肉類をはじめ、いろいろなものをお腹に収めていました。

   健康診断の結果から、少しずつ食生活を見直そうと考えていたある日。トイレで「大」をしたら、なんとうんちが真っ白に!病院に行くと、手術を宣告されてしまいました。

「白いうんち」で、手術になるなんて
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「死の危険性」に再発の恐れも

   毎日のように外食を続けていた智子さん。以前から少し太り気味だと感じていました。しかし、今回の健康診断で悪玉コレステロールの値がC判定(要経過観察)に......。40歳を超えて、若い頃のように好き放題食べたり飲んだりするのは体に負担がかかると自覚せざるを得ません。体調不良などの自覚はなかったため、少しずつコレステロールを下げる食生活をしていこうと決心しました。

   まずは、最近はやりの「16時間断食」を実行することに。夕食の時間から16時間は固形物を食べずに、空腹の時間を意識的につくる方法です。加えて、食事制限も設けて食べる量も減らしました。

   智子さんはそれまで、特にお腹の悩みはありませんでした。強いて言えば、揚げ物などを連続して食べた後、便秘をすることがあった程度。「その日」も、便意を感じてトイレに入り、強くいきむこともなくするりと排便しました。しかし、ふり返って便器の中を確認してびっくり!うんちが真っ白です。特に腹痛や吐き気は感じません。

   うんちは、食べたものによって色が変わることもあります。「昨日の食事のせいかも」と、ひとまず放置しましたが、翌日もうんちの色は白いまま。さすがに怖くなって病院を受診すると、内視鏡手術をすることになってしまいました。しかも、手術しても再発する可能性があり、最悪の場合は死に至る恐れもあるのだとか。

   「人生100年時代」を考えると、40代は折り返してもいません。まだまだおいしいものだって食べたいし、死ぬわけにはいかない智子さん。真っ白うんちを再発させないために、生活の中で気をつけるべき点を考えると、「便秘の傾向はよくないので、改善のため水を2リットル飲む」、「コレステロールを下げるため、揚げ物や、レバーなど肉類は控える」のうちどちらを実行すべきでしょうか。

食生活との関連が深い

   智子さんの今回の症状は、胆管結石症によるもの。胆管とは、肝臓から十二指腸をつなぐ胆汁の通り道です。胆管の中に結石ができる、または、胆嚢の中にできた結石が胆管の中に入り込むことで起こります。胆管は0.5~1センチ程度の細い管のため、胆石が詰まると胆汁が十二指腸に流れ込まなくなります。胆汁は、脂肪を分解するために必要な消化液で、腸内で老廃物と混ざり合うとうんちに色がつきます。今回の症状では、胆管が詰まって胆汁が流れ込まなかったために、真っ白な状態のうんちが出てしまいました。

   この状態になると、うんち以外にも白目や皮膚が黄色くなる「黄疸」が現れる場合があります。初期症状の場合は痛みを伴うことは少ないですが、まれに右の脇腹が痛い人もいるようです。長期間にわたって胆石が詰まった状態が続くと、胆管の中で細菌が異常繁殖し、急性閉塞性化膿性胆管炎を起こす可能性が。最悪の場合、敗血症などを併発するケースもあり、約20%の症例では死に至っているそうです。

   胆嚢に結石があると、軽度であれば服薬治療の場合もありますが、ほとんどが手術を行います。胆管に結石がある場合は前述の通り重症化リスクがあるため、無症状でも発見したら手術します。しかし、胆管結石は手術をしても再発するリスクがあるのが恐ろしいところ。胆嚢に結石ができて手術をする場合は、胆嚢自体を摘出するため再発することはありません。しかし、胆管結石は結石のみを取り除く対処療法。再び結石ができるリスクは残るため、再発の可能性があります。

   胆石は、食習慣との関連が深い。特に、女性の場合は40代以降、徐々に女性ホルモンが減少し、コレステロールの代謝が悪くなるため発症しやすくなると言われています。つまり、クイズの答えは「コレステロールを下げるため、揚げ物や、レバーなど肉類は控える」。また、調味料や調理法でもコレステロールのコントロールは可能です。食習慣を全体的に改善していくのが良いでしょう。

   もうひとつの選択肢「便秘の傾向はよくないので、改善のため水を2リットル飲む」は、今回は不正解。便秘のままでいいことはひとつもありませんが、胆嚢や胆管に結石ができる原因とは別。智子さんの場合は、脂質をとりすぎるとつまる傾向があると自覚しており、うんちの観点からも揚げ物などは控えたほうがよさそうです。

   再発の可能性がある場合は、定期的な医療チェックが大切。重症化する前に治療が行えるよう、備えておきましょう。健康診断時に、腹部超音波検査をあわせて行うのがおすすめです。

(文・イラスト:長瀬みなみ)

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