「Sansan名刺納め祭 THE FINAL」 紙の名刺納めはこれで最後に

   「デジタル名刺」の浸透、なるか。

   クラウド名刺管理サービスを提供するSansan(東京都渋谷区)が、「Sansan名刺納め祭 THE FINAL」を2023年12月13日、14日に東京・神田明神で行った。ビジネスパーソンが1年で交換した名刺を納めるイベントだ。2015年から開催してきたが、今年が最後となる。イベント初日を取材した。

「護縁箱」へ、不要になった名刺を入れて納める
巫女が「福鈴」を振り、福を授ける
岸川雅範氏による「神職挨拶」
オーダースーツギフトカードやワイヤレスイヤホンなど「会社員が動きやすくなるグッズ」が当たる巨大ガラポン
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紙書類のデジタル化が進むことを願って

   「Sansan名刺納め祭 THE FINAL」の内容は(1)神田明神の神職による、ビジネスの出会いに感謝する「ご祈祷」、(2) 毎年恒例の「名刺納め」、(3)「会社員応援ブース」、の3つだ。

   (2)は、持ち込んだ名刺を、会場に設置された専用スキャナーで名刺アプリ「Eight」にまとめて取り込めるうえ、不要になった名刺を「護縁箱」へ入れて納められる。(3)は「会社員が動きやすくなるグッズ」が当たる巨大ガラポンに挑戦し、来年の運試しができる。いずれも祭務所前に設置されており、来場者は誰でも無料で利用可能だ。


不要になった名刺を、護縁箱へ

   社殿内で行われる(1)は、事前に特設サイトから申し込んだ希望者のみ、参加できる。神田明神に祀られている商売繁盛・縁結びの神様にあやかり、今年の出会いへの感謝と来年のビジネスの良縁を祈願するものだ。参拝者をお祓いする「修祓(しゅばつ)」に始まり、「祝詞奏上」、巫女が福を授けてくれる「福鈴」、「玉串拝礼」と、終始厳かな雰囲気の中で進行した。


参拝者をお祓いする「修祓(しゅばつ)」

   「ご祈祷」後は、Eightユーザーによる「デジタル名刺交換」が神田明神文化会館 EDOCCOにて催された。互いにスマホをかざすだけで一瞬のうちに名刺交換ができるため、名刺入れではなくスマホを手に持って談笑する人の姿があちこちに見受けられた。


「タッチ名刺交換」の様子

「THE FINAL」は、一歩前進でもある

   「Sansan名刺納め祭」は、15年に築地本願寺で初開催後、16年には実施がなかったが、17年から神田明神に開催場所を移して以来、毎年実施している(20年はコロナ禍のためオンライン開催)という。

   8回目にして「THE FINAL」を迎えた背景には、「Eight」が、23年9月にタッチ名刺交換の提供を開始し、紙の名刺をなくしデジタル名刺をスタンダードにしていくことを発表したことがある。これに伴い、名刺をはじめとした紙書類のデジタル化が進むことを願い、紙の名刺を納める機会はこれで最後にしよう、という意思のもと本イベントを企画した。

   数年にわたり、「Sansan名刺納め祭」を通じてSansanと関係を築いてきた、神職の岸川雅範氏を取材した。「THE FINAL」となったことは「さびしい」としつつも、それ以上に「一歩前進」、「良ききっかけとも捉えている」と話す。Sansanがデジタル名刺のスタンダード化を推進しているのを踏まえ、「紙の名刺納め」に区切りをつけることが、取り組みの後押しになるのでは、という思いがあるようだ。

   コロナ禍で、あらゆる方面でのデジタル化が進んでいる。これまでは「遠方だから」と諦めていた人ともオンラインで会いやすくなった。ただ岸川氏は「人と人とが対面で交流すること」の重要性に言及し、何についても都度、リアルとデジタルの相応しい方を選んで使い分けていくのが望ましいのではないか、と語った。

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