2024年 5月 9日 (木)

日曜コラム:香港の巨匠カーウァイ監督は「CMの王者」だった

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   今回は、アジアの映画界で起きている話題をいくつか取り上げたい。

   まず最初は、香港のウォン・カーウァイ(王家衛)監督。香港では、ジョン・ウーやツィ・ハーク、アンドリュー・ラウなど、成功すればハリウッドへ出て行くのが普通だが、ただ一人香港に残って活躍している。日本では「恋する惑星」で注目され、同性愛の「ブエノスアイレス」、キムタクの国際的映画初出演の「2046」など、押しも押されぬ大監督だ。彼の新作「My Blueberry Nights」は5月16日から開催されているカンヌ映画祭のオープニング上映作品の栄誉に浴した。しかしスタイリッシュな画面や演出法は筆者の好みはでは無いのだ。

BMWやランコムからオファーが殺到

   だが知らなかったが、カーウァイは世界的なCM演出家でもある。発端は1997年。日本の電通からショートフィルムの発注があった。その後それがCMになったことを知り、ウォンは「ショートフィルムというのは、CMになるんだ」と初めて気づいたという。以来ラコステ、モトローラ、ランコム、BMWと世界的なクライアントからのオファーが引きもきらない。

   BMWは世界の名監督8人に次々とCMを依頼している。故ジョン・フランケンハイマー(RONIN)、アレハンドロ=ゴンザレス・イニャリトゥ(バベル)、ジョン・ウー(MI:2)、ガイ・リッチー(スナッチ)など。特にリッチーは夫人であるマドンナを主演にした長尺CMでカンヌ国際広告祭のグランプリを受賞している。カーウァイはランコムの男性用化粧品でも使ったクライブ・オーウェン(インサイド・マン)をCMタレントとして、BMWを走らせる。

   カーウァイの新しいCMは新「007/カジノ・ロワイヤル」のエヴァ・グリーンで、クリスチャン・ディオールのCMを撮っている。カーウァイは世界に冠たるCMディレクターだ。大林宣彦や原田真人、リドリーやトニー・スコット監督のようにCMを撮っていて映画監督になるのが普通だが、カーウァイのように逆コースもあるのだ。

恵介