2019年 11月 12日 (火)

あおりネットに乗せられて大量の弁護士懲戒請求 弁護士が猛反撃、請求者が損害賠償を支払うケースが続々

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   例年の40倍の13万件――。去年(2017年)1年間で全国の弁護士会に寄せられた弁護士資格のはく奪などを求める懲戒請求件数だ。ところが今、こうした請求者が逆に弁護士側から損害賠償を求めて訴えられるケースが増えている。このうち1人が33万円の賠償を裁判所から命じられた。

   外国人排斥を主張するネットの呼びかけに応じたのがきっかけの騒動で、多くが匿名で懲戒請求をできる勘違いして気軽に請求していた。実際は匿名ではなく、請求書面から特定された発信者に弁護士側の怒りが爆発した形だが、ネットの怪情報に踊らされる人たちの哀しい実態が見えてきた。

発端は在日朝鮮人の弁護活動を「死刑に相当する」攻撃するブログ

   発端は在日朝鮮人にかかわる弁護活動を「外患誘致罪、死刑に相当する」などと攻撃するブログだ。懲戒請求書のひな型まで公開してあおりたてていた。

   金竜介弁護士には去年1年間、1000通の懲戒請求があった。「朝鮮学校への補助請願に賛成している」という理由は、金氏が一切かかわっていないものだった。「どんな人が請求しているのかもわからなかったが、その人たちが具体的行動に出るハードルが低すぎる」と金氏は驚きを語る。

   NHKが調べると、請求者1000人中470人の住所がわかった。平均55歳、60%が男性だった。公務員、医師、会社経営者、主婦などと幅広い。1人ずつ取材すると、「日本人学校が虐げられている」「日本の周りに悪い国がいっぱいある」といった反応が返ってきた。ほとんどがブログの主張に賛同したという。

   後悔の気持ちを話す人がいた。

   関東地方の50代タクシードライバーは「制度を知らず、深く考えなかった。弁護士がこんなに怒るとは思わなかった」そうだ。

   問題のブログに出会ったのは6年前。会社を退職し、ギャンブルの借金から自己破産した。「あてもなく低空飛行していた時にブログを見つけ、在日コリアンが優遇されていると聞いて理不尽だと思った」という。他のサイトにも似た主張があり、「オススメものにのめり込んで」170件の懲戒請求に署名、なつ印した。「悪いことをしている意識はなく、高揚感がありました」と振り返った。

   ネットの匿名性に安心感を持ってやった人もいる。

   夫と子供との3人暮らし、50代の主婦はフェイスブックから引き込まれた。日本人を礼賛する主張に共感し、信じる気持ちが日に日に高まった。ブログの「署名押印しても弁護士には名前が伏せられる」という記述が請求行為の決め手になった。

   「匿名なら大丈夫」と思ったのだが、実際には氏名記載の請求書が弁護士にそのまま届くことを知らなかった。匿名はウソだった。「戦闘モードに入って、同調してしまいました」と、今は悔やんでいる。夫や子どもには話していない。

   ブログの運営者は、NHKの取材に対してドアのインタフォン越しに「個人の判断。命令してはいない」と男性の声で答えた。あおるだけあおっておいて、信じるのがバカといわぬばかりの無責任さだ。

文   あっちゃん
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