2024年 4月 26日 (金)

長谷川洋三の産業ウォッチ
中国:経団連会長の「熱烈歓迎」

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「中国の温家宝首相は心の暖かい人。今度の来日を成功させようという気持ちがひしひしと伝わってきた」――。

   日本経団連会長の御手洗冨士夫氏(キヤノン会長)は2007年4月9日、経団連会長の定例記者会見後、温家宝首相の印象を尋ねた私にこう答えた。11日から13日まで来日した。御手洗会長は、06年9月に日中経済協会メンバーなどと温家宝首相と北京で会って以来、小泉首相の靖国神社訪問を機に冷却化していた日中関係を正常化するための地ならしに汗を流してきた。

   中国側は政治レベルの対話が途絶えた後も経済レベルの交流は重視して奥田碩前日本経団連会長らとの対話を保ってきたが、6年半ぶりの首相の来日にあたっても経済交流重視の姿勢を打ち出している。「中国は4年連続で2ケタの経済成長を果たすなど、素晴らしい経済発展を続けているが、今度の来日で日中間の交流が軌道に乗れば、環境協力などいろいろな分野での協力を提案していきたい」――。御手洗会長は、日中交流正常化の流れを作る、自らの役回りの重さをかみしめてこう強調する。

   温家宝首相は1942年9月天津生まれ。北京地質学院大学院を修了後、甘粛省地質局副局長などを経て83年地質鉱産次官。85年10月、党総書記だった胡耀邦に抜擢され、中央弁公庁副主任となり、同庁主任として86年から93年まで胡耀邦、趙紫陽、江沢民と3代の総書記に仕えた。89年の天安門事件では趙紫陽総書記とともに学生を見舞ったが失脚を免れ、92年から中央書記局書記、97年には政治局員になった。98年からは副首相として金融と農業を担当。03年3月の全人代(全国人民代表大会、国会に相当)で首相に就任し現在に至っている。

   温厚な人柄と伝えられるが、日本経団連会長としてたびたび面談したことのある御手洗会長は自分自身の目でその人柄を確認した自信もあって、温首相との関係を個人的な信頼関係の構築にもつなげたいようだ。


【長谷川洋三プロフィール】
経済ジャーナリスト。
BSジャパン解説委員。
1943年東京生まれ。元日本経済新聞社編集委員、帝京大学教授、学習院大学非常勤講師。テレビ東京「ミームの冒険」、BSジャパンテレビ「直撃!トップの決断」、ラジオ日経「夢企業探訪」「ウォッチ・ザ・カンパニー」のメインキャスターを務める。企業経営者に多くの知己があり、企業分析と人物評には特に定評がある。著書に「クリーンカー・ウォーズ」(中央公論新社)「ウェルチの哲学「日本復活」」、「カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」」(いずれも講談社+α文庫)、「レクサス トヨタの挑戦」(日本経済新聞社)、「ゴーンさんの下で働きたいですか 」(日経ビジネス人文庫)など多数。


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