2024年 3月 29日 (金)

民主目玉政策「農家戸別所得補償」 「秋田県外す」発言で大騒ぎ

   民主党の総選挙での「目玉政策」のひとつでもあった農家への戸別所得補償制度の実施を巡り、赤松広隆農林水産相の発言が物議をかもしている。制度導入後は、自民党政権で行われてきた生産割当て削減などのペナルティーを撤廃する方針だが、赤松農相は「秋田県知事らは(新政権の方針を)理解していない。(秋田県などが)大潟村にペナルティーを課した場合は、県全体を制度の対象から外す」と断言。県側は「県の名誉にかかわる」「農水相は発言の根拠を明らかにすべき」などと猛反発。大騒ぎになっている。

   戸別所得補償制度は、民主党が2009年8月末の衆院総選挙の政権公約(マニフェスト)で掲げていた目玉政策のひとつで、農畜産物の販売価格が生産コストを下回って「コスト割れ」になった場合、その差額を政府が補助金として農家に支払うというもの。

今後の政策に賛同すれば、ペナルティーを課さないことを表明

   コメ・麦の主要作物以外に畜産・酪農・漁業などを補償の対象に含めた場合、全体で1兆4000億円程度の財源が必要になるとみられている。政府は2010年度にも制度の実施に踏み切りたい考えだが、実施の対象をめぐり、赤松農水相の発言が波紋を呼んでいる。

   赤松農水相は09年11月26日、補償制度の説明を目的に、秋田県大潟村を訪問した。同村は、国内第2位の面積を持っていた八郎潟を干拓してできたのは有名だ。開村は1964年だが、その直後の70年代からコメの生産調整が本格化。いわば、大潟村の歴史は「減反に翻弄された歴史」でもあり、村内はコメ作りの量を減らさない「反減反派」と、コメから大豆や麦などへの転作に応じる「減反順守派」に二分されてきた。

   赤松農水相は、「反減反派」のシンボルとして知られる農家・涌井徹さんらの前で

「減反政策で、皆様に多大なご迷惑をかけた」

などと謝罪。涌井さん側も、戸別所得補償制度を利用し、減反に応じることを表明した。さらに赤松農水相は、今後の政策に賛同すれば、これまでの「反減反」を理由に生産割当てを大幅削減するなどのペナルティーを課さないことを表明。減反に従わない「過剰作付け」は、秋田県内では大潟村が突出してきたが、いわば「過去の『反減反』は不問に付す」形だ。

   赤松農水相は12月8日の閣議後会見で、この訪問を振り返って、

「減反やって来た人、反対してきた人、一つになってこれを機会に和解して、『みんなでいい大潟村を作ろう』ということになっている」

と高く評価した。

   ところが、続いてこんな発言をしたのだ。

「県の知事や農政部あたりの幹部が(「ペナルティーなし」という大方針を)理解していない。何言っているかというと、『造反してきたやつはダメだ』と。特に自民党の県議など『(前出の)涌井など許せるか』みたいなことを平気で言っている」
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