税制改正論議の行方定まらず 景気減速の中で増税できるか

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   2011年度税制改正に向けた政府・与党の税制の検討作業がスタートした。最大の焦点は法人税減税だが、厳しい財源事情の下、環境税など他の増税項目を含め、12月中旬に取りまとめる税制改正大綱の論議の行方は定まらない。

   政府税制調査会は10月6日、首相官邸で菅直人改造内閣発足後初の全体会合を開いた。菅首相は法人税率引き下げや雇用促進税制導入の検討を指示した。背景にあるのが、急激な円高などによる景気の先行き懸念。税制面で景気立て直しを最優先せざるを得ない事情がある。

財務省は「企業課税ベース拡大」が不可欠と主張

   しかし、ことは簡単に運びそうもない。経済産業省は法人税率(実効税率40%)の5%引き下げを要望するが、そのためには1兆円を上回る財源が必要。先進国の中で最悪レベルの財政状況だけに、財務省は企業向け租税特別措置(租特=税制優遇措置)の廃止や、赤字企業も課税対象にするなど「課税ベース拡大」が不可欠と主張する。

   経済界は「法人税・租特を含め全体の税負担が軽くならないのでは、国際競争力の強化にならず、海外進出の歯止めにならない」と主張し、租特廃止・縮小に強く反対しており、財源問題の落とし所はまだ全く見えない。

   雇用創出を促す税制措置も菅首相「肝いり」のテーマで、どこまで効果がある仕組みを作れるかが問われる。

   11年度改正ではこのほか、前年から持ち越され、企業の抵抗が根強い環境税(地球温暖化対策税)の導入のほか、子ども手当て導入の見返りに廃止が決まった配偶者控除の取り扱い、証券税制の優遇措置の廃止問題、相続税の税率引き上げ、個人所得税の最高税率アップなど、増税になる項目がズラリと並ぶ。年末に向けて景気が一段と落ち込むとの見方もあり、そうした中で税負担増に踏み込むのは容易ではない。

   税制論議の進め方が昨年と変わるのも、今年の注目点だ。

   09年末の2010年度税制改正では、発足間もない民主党政権は政府税調に議論を一元化した。自民党政権時代は、政府税調が中長期の課題を論議し、党は各部会が業界の要望を取りまとめ、党税調の「税制のプロ」を自認する長老が優先度を決定するというように、政府と党が役割分担していた。

調査会初会合は議員本人出席たった30人

   そんな自民党時代を「不透明」と批判したのが民主党だった。しかし、昨年は意思決定の仕組みが確立できていなかったことから、各省の利害が対立し、調整が難航。党内からも「税制の議論に加われない」と不満が噴出し、与党との調整も機能不全に陥った。

   その教訓から、菅政権は2011年度改正で民主党内に、事実上の党税調復活となる税制改正プロジェクトチーム(PT)を設け、政府・党が一体で意見の集約を目指す体制に転換した。ただ、「民主党は若手ばかりで税制に精通した人材が少ない」(財務省筋)ため、新しい仕組みがどこまで機能するかは不明だ。

   消費税を中心とした中長期的な論議も、政府と党が並行して議論する体制を敷く。政府が10月下旬に、野田佳彦財務相や玄葉光一郎国家戦略担当相(党政調会長)ら関係閣僚による税と社会保障の抜本改革を検討する会議を設置する方針。党側は13日に「税と社会保障の抜本改革調査会」(会長・藤井裕久元財務相)の初会合を開き、社会保障の将来像と消費税増税を含む財源確保策の議論を始めた。党は年内に、税と社会保障改革の全体像を政府に提言、政府側はこの提言を踏まえて政府・与党案をまとめる考えだ。ただ、ねじれ国会の下でその先に待ち構える与野党協議の見通しは立っていない。

   抜本改革調査会の初会合は議員本人の出席が30人程度にとどまり、用意した席の半分も埋まらなかった体たらくで、消費税を持ち出して敗れた参院選のトラウマも残る中、党内論議さえ全く見通せない状況だ。

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