2024年 4月 26日 (金)

床板1枚、夫婦で川を逆流7キロ 津波から奇跡の生還

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   3メートル四方の床板1枚に乗って、津波の濁流とともに川を7キロ流されながら、九死に一生を得た夫婦がいた。震災・大津波から2か月。二人は、恐怖を乗り越えて、その体験を語り始めた。5月12日の河北新報が詳しく伝えている。

   宮城県東松島市の鳴瀬川河口近くに住んでいた安倍淳さん(52)と妻の志摩子さん(49)。地震後、淳さんの両親を裏山に避難させた後、海からではなく川から津波が襲ってきた。淳さんは潜水土木工事業を営んでいて保温防水スーツが2着あったのが幸いした。2人がスーツを着け終わったところで家ごと流され、津波と一緒に鳴瀬川の支流、吉田川を逆流し始める。

   志摩子さんが気づいたら、屋根も壁もなく、床板だけの「いかだ」になっていた。猛スピードでJR仙石線の橋にぶつかっていたらしい。投げ出された淳さんを引っ張り上げた。近くに国道45号の鳴瀬大橋が迫ってきた。橋脚にぶつかればひとたまりもない。「神様、お願いします」

   その後も、次々、橋が襲ってきたが、やっと流れが緩んできた。淳さんは「引き潮が来る」と直感した。2人は川に浮かぶがれきや流木の上を転がるようにして土手にたどり着いた。上陸地点は自宅から吉田川を7キロもさかのぼった松島町内だった。

   淳さんは肋骨にひびが入り、頭や耳にも裂傷を負っていた。2週間入院したが、記憶をスケッチに描き続けた。2人はいま、あの日、何があったかを伝えていこうと決めている。「二度と同じことが起きてほしくないから」

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