2024年 4月 29日 (月)

英エコノミスト誌が野田首相を高評価 増税という「不人気政策」を批判恐れずに進める

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   消費増税法案の採決で、身内の民主党から57人もの「造反」を招いた野田佳彦首相。事実上の党分裂状態を招き、支持率もさらに低下し、評判は芳しくないが、海外では、野田首相の一貫した姿勢を評価するメディアもある。

自身の当落や党の生き残りに全く関心なし

一部の海外メディアは首相のリーダーシップを評価
一部の海外メディアは首相のリーダーシップを評価

   英エコノミスト誌(電子版)は2012年6月16日掲載の記事で、野田首相の人物像に迫っている。冒頭から、過去6人の首相のうち、多くは二世、三世議員としての「特権」を受けていた点を指摘。これに対して野田首相が2011年9月に「予想に反して首相の座を射止めた」後、「想像以上の指導力を発揮している」と評価する。さらに「ここ最近の首相経験者と比べて、より多くの実績を残すかもしれない」と期待を込めている。

   記事によると、消費増税法案をめぐって野田首相は、党内のマニフェスト堅持派から「裏切り者」と見られている。それでも自民党、公明党の協力を取り付けて消費増税を推し進める首相は、年金や子ども手当、低所得者支援といった「実行不可能なマニフェスト」の撤回に動いていると続ける。さらに関西電力大飯原発3号機の再稼働という、「自身の支持を落とす」決断を下した。

   最終的に首相は、社会保障と税の一体改革を成し遂げた後に解散総選挙に持ち込むかもしれないと予測。「現状では選挙に負けるだろう」としながらも、「野田氏は自身の当落、またおそらく党の生き残りについても全く関心を払っていないように見える。だからこそ最大限の力を発揮しているのだ」と締めくくった。増税や原発再稼働という「不人気政策」を、批判を恐れずに進められるのは「民主党が下野しても、自分が落選しても構わない」と腹をくくったという解釈のようだ。

   エコノミスト誌は2012年1月28日にも、野田首相について好意的とも思える記事を掲載している。首相と橋下徹・大阪市長の2人について、「日本では勇敢な政治の指導者がひとりでも見つかるのは珍しい。2人となればなおさらだ」と評したのだ。当時、消費増税法案の国会提出に言及していた首相について「政治生命をかけて増税に取り組んでいる」とした。

前任者の2人と比べて堅実な政治性

   少し前のことになるが、米ワシントンポスト紙(電子版)は2012年4月19日、「日本は難しい決断を下せるか」と題した記事で野田首相を取り上げた。自民党政権下の安部晋三元首相以降6人目の首相として、「最も賢明」と持ち上げている。

   記事では、首相が消費増税や原発再稼働に加えて、沖縄の米軍基地問題の解決、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加と、4項目の課題を同時に手がけようとしている点に触れ、首相自身が同紙のインタビューに「いずれも有権者の理解を得るのは簡単ではない」と漏らしていた。首相の横顔について記者は、「カリスマ性が薄く、人物像が国民に浸透しておらず、何よりも融和を重視する日本の伝統的な指導スタイルに戻った面がある」と批評。だが一方では、「派手ではあったが状況を全く理解していなかった彼の前任者の2人」と比べて、堅実な政治性は期待できるとした。

   さらに野田首相が、自身が掲げる方向性を継続して進むことができれば「他の民主国家のリーダーにとって、よいお手本となりうる」と期待した。

   この記事掲載から約2か月、野田首相は消費増税を「自ら進むべき道」として衆院での採決に踏み切った。韓国中央日報(日本語電子版)は6月27日の社説で、「消費税増税法案が日本衆議院で可決されたのは、野田佳彦首相のリーダーシップの勝利といえる」と論評。強いリーダーシップや、ぶれない姿勢を評価する海外メディアがある半面、党が分裂寸前に追い込まれている厳しい現状の報道も少なくない。

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