2024年 4月 26日 (金)

「ジャンボ」は今の時代魅力のない飛行機なのか 日本勢と対照的に、ルフトハンザは「新型747」アピール

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   「ジャンボジェット」として親しまれたボーイング747型機が2014年3月31日、日本の民間旅客機としては最後の営業飛行を終えた。国内線向けに747を導入したのは日本の航空会社だけだったが、需要が頭打ちになって大型機の必要性が薄れたことや、新型機と比べて燃費が劣るというのがその理由だ。

   ただ、海外の航空会社では747はまだまだ健在で、中でも気を吐いているのがドイツのルフトハンザ航空だ。12年には新型の「747-8」と呼ばれる機種を導入し、「唯一747-8に乗れる航空会社」としてアピールしている。日系航空会社との戦略の違いが際立つ形になっている。

JALは10年の経営破たんで一足早くリストラ

ルフトハンザ航空が導入した747-8型機。フランクフルトと9都市を結んでいる(ルフトハンザ航空提供)
ルフトハンザ航空が導入した747-8型機。フランクフルトと9都市を結んでいる(ルフトハンザ航空提供)

   747は、「いざなぎ景気」真っただ中で、大阪で万博が開かれた1970年に日本の空に初めて登場。パン・アメリカン航空が3月に初めて乗り入れ、7月にはJALが羽田からホノルル便を就航させた。1985年にはJALが乗員乗客520名の死者を出す墜落事故も起こしたが、国際線を中心に11年3月まで活躍した。

   ANAは1979年に747を初めて導入し、現行の747-400型機は1990年に導入。最も多い時(1998~99年)で39機を保有していたが、最後の1機(JA8961)も3月31日、那覇発羽田行きのNH126便で最終飛行を終えた。4月には米国に回送され、解体される。これで国内の旅客航空会社からは747はすべて姿を消すことになる。

   747は「空の女王」「空のベンツ」といった異名を持ち、揺れが少なく乗り心地が良いとされる反面、新型機と比べると燃費の悪さがネックとされてきた。

   ANAの篠辺修社長はラストフライト前の囲み取材で、

「今日の(ラストフライトで飛ぶ)8961も、機齢でいくと20年を少し超える。どうしても20年程度になると、整備の機会を多くする必要がある。結局、その分コストがかかるようになる。従って、経済性の面では787や777にはかなわない」

と退役に理解を求めた。また、一足先にリストラ策の一環として747を退役させたJALは、10年の経営破たんで路線を大幅に削減し、飛行機が余ることになったという事情もある。

「747-8」は運航コストも離陸時の騒音も30%減少

ANAは2014年3月31日、747-400型機のラストフライトを終えた
ANAは2014年3月31日、747-400型機のラストフライトを終えた

   両社と対照的な方針を打ち出すのがドイツのルフトハンザ航空だ。747-400の後継機にあたる「747-8」を12年6月にフランクフルト-ワシントン線に就航させ、現時点ではデリー、バンガロール、ロサンゼルス、香港、メキシコシティ、シカゴ、ソウル、サンパウロの計9都市を結んでいる。すでに香港やソウルといった東アジアの都市に乗り入れており、今後日本に乗り入れる可能性もありそうだ。

   747-8は747-400よりも「多く積める」ことが特徴で、長距離便の場合で約420席を備える。ルフトハンザでは、747-8を導入した理由を、

「エアバスA340-600型機(約310席)やボーイング747-400型機(約360席)と、(この2機種と比べて)さらに200席多いエアバスA380型機とのギャップを埋める機種が必要だった」

と説明している。「超大型機」として知られるA380型機に次いで大きい機材としての位置づけを期待しているようだ。ルフトハンザの説明によると、747-8は747-400と比べて運航コストが30%、二酸化炭素の排出量が16%、離陸時の騒音も30%減少しているという。

747-8は「777-300ER型機の後継としては大きすぎた」

   ただ、日系航空会社は747-8の導入には否定的だ。ANAは3月27日、5機種70機を発注すると発表したばかりで、そのうち20機がボーイングが開発中の「777-9X」。747-8は1機も含まれていない。ANAの篠辺社長は、この点について、

「今の環境の中で、『777-300ER型機の後継として』となると、大きなサイズというよりは、その(777-300の)サイズの前後(の機種)が検討の対象だった。そういう意味では747-8やエアバスA380は、今後の中では検討できるのではないか。けれども、777-300ER型機の後継としては、対象としては大きすぎたと個人的に思っている」

と話し、将来的な導入には含みを持たせながらも、当面は「中型機を多頻度運航」という基本方針を維持する考えだ。

   ただし、747-8は貨物向けにはある程度の需要が見込まれており、日本貨物航空は12年8月に導入している。

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