ネットスーパー、競争激化 住商は撤退、無料配送が重荷

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   成長著しい「ネットスーパー」事業から、住友商事が撤退する。理由は、「黒字の見通しが立たないため」という。

   イトーヨーカドー、イオン、西友、ダイエー――。ネットスーパーにはいまや流通大手が続々と参入している。家庭まで届けてくれる便利さで利用が広がる一方で、各社の競争が激しくなっている。

生鮮食品、実店舗で手にとり、新鮮さ確認して購入

「サミットネットスーパー」はホームページで、サービスの終了を告知した。
「サミットネットスーパー」はホームページで、サービスの終了を告知した。

   住友商事の孫会社にあたり、インターネットで生鮮食品などを販売する「サミットネットスーパー」は、2014年10月31日をもってサービスの提供を終了する。9月1日に発表した。

   すでに8月31日で、新規会員の登録を終了。「お得便」「通常便」は10月31日の配送分、「週いち便 こだわり野菜(水)コース」は9月24日の配送分、「週いち便 こだわり野菜(土)コース」は9月27日をもって終了。電話注文も、10月31日午前9時59分をもって終了する。

   サミットネットスーパーはその名のとおり、住友商事の子会社で大手スーパーの「サミット」と全面提携して、生鮮食品や日用品を中心にネットで販売。東京23区と調布市や府中市、国立市など一部の市部と神奈川県横浜市と川崎市の一部地域を対象にサービスを提供している。

   サミットは撤退する理由を、「昨今のネットスーパーを取り巻く環境の変化、今後の展開、そして事業としての収益を考慮した結果」という。つまり、赤字体質から抜け出せず、将来展望が開けないことにある。

   生鮮食品は毎日の食卓にのぼる献立を飾るが、その一方で価格変動が大きく安定しないうえ、単価が安いため、どうしても配送コストがかさんでしまう。

   ネットスーパーの商品価格は、実店舗の店頭価格とほぼ同じに設定している。配送料分を価格に上乗せするようなことがないため、ネットスーパーの配送料は一般に「500円程度を徴収しないとペイしない」とされる。

   サミットの場合、入会費や月会費は無料。また、5000円以上の買い物では配送料が無料だが、3000円以上5000円未満では1回300円(午前便・午後便の利用)、3000円未満では500円(同)かかる。

   毎日買う生鮮食品でも玄関先まで届けてくれる便利さで、サミットは約30万人の会員を抱えているが、継続的な利用者は伸び悩んでいた。また、生鮮食品は商品の新鮮さや状態を実店舗で確認したいという需要が高いことが、ネットでの注文が伸び悩んでいる理由だ。

大手スーパーにコンビニ、ネット通販… 競争相手ぞろぞろ

   ネットスーパーには、サミットネットスーパーのように、「倉庫型」といわれる物流拠点から配送する方法と、イトーヨーカドーのように、店頭在庫を集荷して配送する「店舗型」がある。倉庫型は管理コストが抑えられるが、配送コストはかさむ。一方、店舗型は配送コストは抑えられるが、管理コストがかさむ。

   どちらがいいとは言えないが、サミットの場合、2か所の物流センターから商品を宅配しているため、配送距離が延びてコストがかさんだことが赤字の要因となったとされる。配送コストが経営の足をひっぱる状況は、ネットスーパー共通の悩みのようだ。

   ネットスーパーは、西友やイトーヨーカドーが先行、2008年にダイエーやイオンが相次いで参入。住友商事の「サミット」が参入したのは、その翌年の2009年10月だった。

   西友では現在、食品やお酒、日用品はもとより、ポロシャツやYシャツ、インナーウェアなどの衣類やビューティーケア、ベビー用品、ペット・園芸用品と、取扱商品は幅広い。イオンも食品から日用品、医薬品、家電までも取り扱っているし、イトーヨーカドーネットスーパーは商品点数で3万点を用意した。どこも品揃えは充実している。

   大手スーパーだけではない。もともと地域によっては市民生協や無農薬食料品などの宅配が先行しているうえ、コンビニエンスストアも宅配サービスに力を入れているし、楽天やアマゾンジャパンなどのネット通販も食品などの取り扱いを増やしていて、「スーパー」の看板にかかわらず、競争が激しさを増している。

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