由緒ある寺院、神社への「油まき」事件拡大中 東京でも港区で初の被害が発生

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   寺社などに油のような液体がまかれる事件が全国各地で相次いでいる中、2015年5月8日には東京都港区で、国の有形文化財「心光院」表門の柱と扉部分に液体がかけられているのが見つかった。どれも世界遺産や国宝、重要文化財がターゲットにされているが、東京での被害は初めてとみられる。

   一連の事件は一か月前程から頻繁に起こっていて、15年5月9日までに被害は16都府県45件に拡大している。犯人は誰なのか、何の目的でやっているのか全く分かっていない。

  • 表門に液体がかけられた「心光院」。現在は清掃が終わっている。
    表門に液体がかけられた「心光院」。現在は清掃が終わっている。

文化財という表示を出しているから狙われた?

   今回被害に遭った「心光院」を訪ねてみた。東京タワーの近くにある「心光院」は酉譽聖聴上人が開基で、惠照律院光阿上人が開山、宝暦11年(1761)に現在の場所に移転している。表門は国の登録有形文化財になっていて、その門の柱と扉の部分に液体がかけられた。

   「心光院」担当者の話によれば、液体がまかれた事を発見したのは、耐震工事のために来た作業員で、5月8日の午前8時過ぎのことだった。液体は表門の柱や扉の縦2メートル、横1メートルの範囲に広がり、門を閉じている状態だったため、おそらく人通りの少ない深夜から明け方にかけて東京タワーから坂を下り寺院を通り過ぎる際にまいたのではないか、と見ている。

   液体には色が付いていて、朱色の柱や門の色が曇るような感じになっていた。区の文化財担当者と連絡を取り、区役所が8日午後零時半ごろ、麻布署に通報した。まかれた液体は油に似たものではないか、としている。門は9日の午前中までブルーシートが張られ、捜査と洗浄が行われた。水拭きなどをして、幸い汚れは落とすことができたそうだ。なぜ「心光院」が狙われたのかについては、

「門の横に文化財であるという表示を出していることに関連しているのではないでしょうか」

と担当者は推測している。犯人像については全く分からないとしながら、

「徳川時代から続く古く歴史のあるものですから、私どもとしては大事にして欲しいという願いがあるわけです。それに対して、何の敬意も感情も持ち合わせていない人が汚していった、ということなのかもしれません」

と寂しそうに語った。

「かけた液体が何だったのかも分かっていません」

   今回の事件は、4月初めには京都や奈良などの関西に集中し、世界遺産の二条城や奈良の東寺、金峯山寺、当麻寺、長谷寺などが狙われた。やがて福岡や大分の九州地区、山形など東北、神奈川、千葉といった関東へと拡大していった。「心光院」と同じ8日には群馬県館林市の尾曳稲荷神社で、神社拝殿の床下にある柱や横板などに液体がかけられた跡があるのが見つかった。

   事件から1ヵ月立つにも関わらず、事件の謎はほとんど解明されていない。淡路島にある伊弉諾神宮は、

「警察に捜査を任せておりますが、誰が行った犯行なのかだけでなく、かけた液体が何だったのかも分かっていません」

とだけしている。伊弉諾神宮は15年2月下旬から3月下旬にかけて自由に参拝できる場所に染みが点在するのが見つかり、4月12日に通報している。一部報道では液体は機械油のようなものだったとか、ジュースのようなものだったなどが出たがはっきりしていない。監視カメラに東洋人風な姿が写っていた、というものもあったが、画像が荒く判別できていない。

   被害にあったほかの神社や寺院の場合も、解明は進んでいない。

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