2024年 4月 27日 (土)

カタール情勢が引き金に? 原油「協調減産」に忍び寄る「陰」

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   石油輸出国機構(OPEC)が、2017年1月から実施中の協調減産を、18年3月まで9か月延長することを決めた。原油のだぶつきを引き締め、価格を押し上げようという狙いだが、その後、原油相場は反転の兆しはない。また、ここにきて中東の地政学的なリスクの再燃の気配もあり、原油価格の先行きが一段と読みにくくなっている。

   OPECは17年5月25日、ウィーンでの総会で、6月いっぱいを期限に実施している減産の延長を決めた。総会後、ロシアなど非加盟国を交えた会合を開き、協調減産の継続を確認した。OPEC諸国が16年10月に比べて日量120万バレル、非加盟国が60万バレル減らすという減産規模は維持する。

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シェールオイル生産とのイタチごっこ

   国の財政の多くを原油に頼るOPECなど産油国にとって、原油価格下落による収入減は国家の存立にかかわる。減産して価格が持ち直さなければ、さらに収入が減るだけに、いわば、協調減産は背水の陣ということになる。

   産油国をここまで追い込んだのは「シェール革命」だ。米国を中心に、それまで採掘が難しかった頁岩(シェール)層に混ざった状態のオイルを取り出す技術開発が進み、シュールオイルの産出量が増え、原油相場の強烈な下押し要因になってきた。原油相場は2008年の1バレル=140ドル台をピークに、50ドル以下のレベルまで下落させ、16年1月には20ドル台まで押し下げた。

   さすがに、このレベルまで落ちると、シェールオイルの損益分岐点を大きく下回り、シェールオイルの生産が減り、価格が上昇に転じる。しかし、一定価格以上に上がるとシェールオイルの生産が再び増え、価格がまた下落し......という「イタチごっこ」状態で、ザックリ言って、概ね1バレル=50ドルをはさむボックス圏の相場という格好になっている。

   今回の合意の効果も、思わしくない。OPEC合意が伝わった5月25日のニューヨーク市場の原油相場は、指標銘柄のWTI先物が一時、前日比5%下げ、1バレル=48ドル台になった。減産延長は織り込み済みで、減産幅の拡大がなかったことが、むしろ失望を呼び、利益確定売りが膨らんだという。原油相場は5月31日には一時、47ドルを割り込むなど、弱含みで推移している。

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