2024年 4月 18日 (木)

性的少数者「生理的にダメ」はOK? 熊谷千葉市長のツイートが大議論

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   千葉市が「同性パートナー」の市職員を「事実婚」と同じ扱いに処遇する政策を発表したところ、ツイート上で、「容認派」「批判派」「当事者」らが三つどもえの大議論を展開している。

   政策を推進する熊谷俊人・千葉市長(38)が批判派に対し、(いろいろな理屈をつけずに)「『生理的にダメ』と言えば良い」とツイートしたことが火に油を注いだ形だ。議論の行く末から、この国の性的少数者(LGBT)の置かれている現状を探ると――。

  • 同性パートナーの市職員に事実婚と同様の結婚休暇を認めると決めた、千葉市の熊谷俊人市長(2009年8月撮影)
    同性パートナーの市職員に事実婚と同様の結婚休暇を認めると決めた、千葉市の熊谷俊人市長(2009年8月撮影)
  • 同性パートナーの市職員に事実婚と同様の結婚休暇を認めると決めた、千葉市の熊谷俊人市長(2009年8月撮影)

「同性パートナー容認は少子化の推進ですね」

   事の発端は、熊谷氏が2016年11月10日に発したツイートだ。千葉市は同日、「同性パートナーを形成する市役所職員は、事実婚と同じように結婚休暇・介護休暇を利用できる」という新制度を17年1月1日から始めると、熊谷氏自ら記者会見で発表した。そして、ツイッターでもその報告をすると、ツイッターユーザーからこんな批判的な返信が届いた。

「少子化を推進しているんですね。子供が出来ないカップルを奨励している」

   この発言に対し、熊谷氏はこう返した。

「性的多様性についてもっともらしい理屈(多くは整合性が取れていません)を用いるのではなく、単純に『生理的にダメ』『気持ちが整理できない』と言えば良いと思いますし、それは別に責められるべきものではありません」

   これにはさっそく次のような批判が出た。

「『生理的にダメ』は、言ってもいいのでしょうか」
「ヘイトスピーチを容認した」

   熊谷氏はすぐに発言の真意をこう説明し、釈明した。

「性的多様性を話し合う際に、嫌悪感を抱く方の意見を抑制せず、その上で課題を抱える方への理解と権利擁護を促す必要があります。誤解を招く表現であったと反省します」

「自分、ゲイですが本音を言ってもらった方が」

   熊谷氏の一連のツイートには多くの意見が出た。特に「『生理的にダメ』と言えば良い」という性的少数者に対する「嫌悪感の表明」には多くの反発が出た。

「『意見を抑制せず』といいますが、それは意見ではなく単なる攻撃です」
「少数派に対する多数派の『嫌悪感の表明』を正当化するのは、差別を助長するのと同じ」
「嫌悪感を公的に表してはいけないんです。つまり貴方はずっと差別をして来た人」
「性的少数者(LGBT)に痛みをまず強いて、越えた人だけが認められる世界がまず間違っています」

   一方、次のように熊谷氏を支持する意見もまた多かった。

「これからも多様性を許容する社会作りをよろしくお願いします」
「片方が権利を主張したら、もう一方の権利とぶつかるのは当たり前だと思う。言いたいことも言えない世の中の方が本当に怖い」
「嫌悪を表す人がいる事実に背を向ける事は解決策にならない」
「自分、ゲイですが少し分かる。『少子化』とか『家族の崩壊』とかホントは関係ないのにもっともらしい理屈を言うよりは、正直に『生理的にダメ』って本音を言えばいいと思う。それを変える事はできると思うし、本音の部分を解消しないと差別はなくならないから」

「自分の周りに当事者はいないと思わないで」

   実は、熊谷氏は11月10日の記者会見で「当事者が周りにいないために、多くの人が性的少数者の実態を掴めていない」とする見解を述べていた。電通ダイバーシティ・ラボが2015年4月に全国20~59歳の6万9989人を対象にネットで調査したところ、7.6%が性的少数者(LGBT)に該当するという結果が出ている。

   性的少数者の人々は、千葉市の「同性パートナー容認政策」をきっかけに起こった今回の議論をどう受け止めているだろうか。また、性的少数者に対する社会の理解は進んでいるのかどうか。J-CASTヘルスケアは、「日本セクシャルマイノリティ協会」に取材した。すると、担当者から千葉市長発言をめぐる議論に関しては直接のコメントはなく、メールで次のような回答が返ってきた。

「協会は、当事者個人の生活に目を向けた活動をしてきましたが、最近では個人からの問い合わせはもとより、企業からの問い合わせも増えました。『理解が進んでいる』というよりは、『理解を進めるために努力している』状況であると考えています」

   そして、人々に対してこう訴えている。

「個人でできることは、『自分の周りに当事者はいないと思い込まず、正しい知識を知ろうとする』ことです。可能であれば、当事者以外も参加可能なLGBTのセミナーやイベントに参加してみる事も大切だと思っております」
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