「いやぁ、本当に死ぬしかないか、と思いましたよ……」
マスコミで働くAさんが力なく言いました。
酔って電車で寝込んでしまい、ケータイを落としてしまったのです。
ハッと気がついて電車を降りたら、見たこともない終点の駅。慌てて逆方向へ行く電車に乗り、またウトウトしてしたものの、なんとか自宅の最寄り駅で下車しました。
この間だけで約30分。ケータイを落としたようだと認識したのは、自分の部屋に帰りつき、気付けにシャワーでも浴びようかと思った直後でした。
「1時間近くケータイを落としたことに気がつかなかったんです。慌てて回線を止めてもらい、遠隔ロックをしたんですが、その間にもアドレス帳やメールを見られてないかと、気が気じゃなくて生きた心地がしませんでした」
なぜなら、Aさんのアドレス帳には、誰もが知っている著名人の電話番号やメールアドレスが含まれていたからです。なかには、住所や本名までが記載されている人もいました。
「当たり前ではあるんですけど、ケータイって、もはや自分だけじゃなく他人の個人情報の塊。もし、著名な人のところへイタ電やストーカーみたいなメールがいったらって考えると、もうパニックですよ。江戸時代なら切腹ものだ、って」
正直に会社の上司や関係者に打ち明けようかと一時は考えたのですが、被害がなかった場合、無駄に不安を煽ることになり、また仕事上で不都合が出てこないとも限りません。
(続く)
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