仕事に身が入らなくなった社員を辞めさせたい

2010/2/ 8 13:10

   不況でボーナスのみならず、給料もカット。住宅ローンの返済や教育費がかさみ、生活に不安を感じている人も多いのでは。ある中小企業の人事部には、これまで業績を上げてきた中堅社員が、仕事に身が入らなくなっているようだと相談があった。

>>ヨソでは言えない社内トラブル・記事一覧

「もう限界ですわ」とサジを投げる課長

――IT系中小企業の人事です。営業部門の課長から、入社5年目のA君について相談がありました。話によるとA君は最近、仕事への集中力を書き、ミスが目立つようになってきたということです。
   お客さんへの請求書を他社のものと間違えて出したり、アポイントの時間を間違えたり。基本的に真面目な性格で、他人の話にはきちんと耳を傾けるので、先輩社員を含めて周囲の人たちが注意して3ヶ月が過ぎました。
   しかしその間も、お客さんへ提出するもののミスは防げているものの、社内チェックの段階ではミスが減らず、先輩社員からは「もう彼は諦めた方がいいんじゃないですかね」という声が挙がる始末。
   人事の記録によると、A君は有名大学を優秀な成績で卒業し、これまで着実に業績を上げてきました。同期社員はもちろん、同世代の中でエース級と見られてきた社員です。そこで昨年度から、これまで伸び悩んでいた市場の新規開拓要員に抜擢されたところでした。
   今年度から新しく上司となった課長は、以前の彼の姿を知らず、
「いやあ、われわれではもう限界ですわ。他の部署に異動させるか、辞めさせてくださいよ」
と言います。同期内でも「あいつは仕事ができないらしい」と噂が広がり、浮いてしまっているようです。
   確かにA君にそのまま仕事をさせていると、常にフォローが必要になって同僚の仕事の効率が落ちてしまいます。だからといって、当社は大きな会社ではないので、異動させる部署にも限りがありますし、いまの状態では引き受け手を頼みようがありません。
   これから本人と面談する予定ですが、どういう方向で話をするのが会社にとってよいものでしょうか――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

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