2024年 4月 23日 (火)

「社内不倫」に会社が厳罰 「英断」か「やりすぎ」か

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   ある会社の「社内不倫」に関するルールが、ネット上で話題となっている。ダスキンのフランチャイジー事業などを行い、数々の経営賞を受賞する株式会社武蔵野。日経BPネットに掲載されたコラムによると、「社内不倫は二等級降格」がルールで、課長であれば一般社員に降格、一般社員なら男女ともに即日解雇となるという。

   小山昇社長は、上司と部下が不倫をしていたら、叱るにしろ褒めるにしろ「上司が手心を加えた」と周囲が疑心暗鬼になる、と指摘。部署が別ならよいのかと思いきや、「それぞれの家族に多大な不幸を及ぼす」「家庭も守れぬ男に仕事ができるはずもない」と断じて、やはり厳しい姿勢を崩さない。

「課長は降格、ヒラはクビ」では不公平の声

「君じゃないのか」「いや彼だろう」と大騒ぎ
「君じゃないのか」「いや彼だろう」と大騒ぎ

   とはいえ、周囲に悪影響を及ぼす前に発覚した場合には、温情処分とすることも。若い女性から会社に「おたくの会社は社内不倫を推奨しているのですか」と涙ながらに電話があったときには、社長は全社員とパート・アルバイトに対して、

「社内不倫をしている社員がいる。その奥さんらしき人から会社に抗議の電話があった」

とメールで周知させたのだそうだ。その後、不倫関係は解消されたのか、電話は掛かってこなくなったという。

   ネット上には社長の「英断」に対し、「火が小さいうちに消し止めて事なきを得た」「これが普通の感覚だよね」と当然視する声が少なくない。仕事場で既婚者にイチャイチャされては、仕事のモチベーションも下がる。

   一方で、「不倫を推奨するわけではないが、ここまでするか?」と違和感を抱く声もある。

   コラムによると全社メールを見た社員たちは、口々に「不倫してるのは誰だ?」「君じゃないのか?」「いや彼だろう」と大騒ぎになったという。社員たちがお互いを疑い、監視しているような状態は気分のよいものではない。

   もちろん、この「いぶり出し」作業によって、隠れて不倫していた複数のカップルが関係を解消し、社内処分を受けずに済んだ可能性もある。この記事を目にしたという20代前半の女性会社員Aさんは、処分の「不公平さ」が気になったという。

「課長が降格で済むのに、一般社員がクビになるのは厳しすぎるし、差が大きすぎますよね。私から見ると、会社は妻子持ちの男性をかばって、若い女性の切り捨てを見込んでルールを作ったみたいに思えました」

「情報公開」で騒ぎを大きくするリスクも

   40代後半で女性部下を持つ男性会社員のBさんは、自分が勤める会社ではそこまで関与されることはないという。

「会社が処分できるのは、不倫関係じゃなくて、それによって起きる問題に対してでしょう。問題を未然に防ぐといっても、やりすぎだと思う。そもそも50近くになったら、実質的に崩壊している家庭も少なくないし(笑)」

   Bさんの親しい同僚の中には、離婚して若い女性の部下と再婚したケースもあるという。子どもも独立しており、慰謝料などでも揉めることはなかった。

   途中、一時的に社内不倫の形となっていたが、上司と部下の関係ではなく、仕事に支障を来たしたこともなかったとか。

   そんなことよりも、たった1本の電話だけで社内を大騒ぎにすることの方に「恐ろしさ」を感じたという。

   Bさんの会社には数年前、退職した若い男性が上司に恨みを持って『彼が若い女性部下と不倫している』と電話をしてきたことがあった。

「それも警察を名乗り、被害者から相談を受けているとウソを言って。ピンときた総務が折り返し、そのような届出がないと確認して事なきを得たんですがね。変な噂を社内に広めてしまったら、そいつの思う壺でしたから、慌てて情報公開するのも考えものですよ」
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