男性社員が「女子トイレを使いたい」と申し出てきた

2011/8/ 5 11:54

   心の性別と、身体の性別が一致せずに苦しむ「性同一性障害」。最近は性転換手術をしたタレントがテレビに出たりして認知度が高まっているが、実際に身近な存在となったときに温かく受け入れることができるだろうか。

   ある会社では、若手社員が「性同一性障害」であると告白する決心をして、人事担当が対応に戸惑っているという。

休日出勤で同僚に知られ、カミングアウト決心

――システム開発会社の人事です。開発部の男性A君が「女子トイレを使いたい」と申し出てきて、どうしたものかと戸惑っています。

   A君は20代半ばのイケメンで、仕事は真面目にやるし、SEの中では人との関わり方もうまいので、周囲から信頼されていました。

   ところが、あることがきっかけでA君は、

「実は性同一性障害であり、自分のことを女性だと思っている」

と職場でカミングアウトすることを決めたのだそうです。

   先月の休みの日に営業部のBさんが出勤したところ、見慣れない女性がオフィスにいたので声をかけたら、実はA君でした。

   A君は誰もいないと思って、ちょっと忘れ物を取りに来たのですが、プライベートでは化粧をしたりカツラをつけたりして女性のファッションをしていることが、これで判明してしまいました。

   そこで人事に来て、

「Bさんに知られてしまった以上、自分を偽って過ごすことはできなくなった。今まで我慢して隠してきたけど、これからはオープンにしていきたい。服装も女性らしいものに変えたいし、女子トイレも使わせてもらいたい。将来的には手術して戸籍上の性別も変えるつもりだ」

と言うわけです。

   私自身は男性ですが、差別的な感覚を持っていないつもりです。しかし、他の人はどうかと考えると、ひと騒動起こらないとは限らないと思います。もしA君の希望を通すとしたら、どうやって進めていったらいいのでしょうか――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

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