2024年 4月 20日 (土)

ロボットはどこまで「人間の労働」を奪うことができるか?

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   あなたの仕事は、いずれロボットに取ってかわられる可能性が高い――。そんなばかな、とおっしゃるあなた。そんな甘いことを言っていられるのも今のうちだ。今後2、30年で人間が行うべき「仕事」が急激に減っていくことが、かなりの確率で予測されるのだから。

   最初にロボットにとって代わられる仕事は、単純作業だ。すでにATMや自動販売機などが人間から大量の仕事を奪っている。一方で「私の仕事は複雑なので、ロボットが奪うことはできない」とタカをくくっている人も多いことだろう。

医師や弁護士の仕事でさえ減っていく

   しかし「専門性があり時給が高いからといって、決して安心できない」とファーハド・マンジョーは言う。彼は米国を代表するウェブ・マガジン「Slate」のコラムニスト。「ロボットはあなたの仕事を奪うか?(“Will Robots Steal Your Job?”)」という連載コラムは、大きな反響を呼んだ。

   マンジョーは言う。「薬剤師の仕事は、米国ではすでに相当程度ロボットが行っている。患者の記録をチェックする、薬を用意する、瓶にラベルを張る、保険の請求をする…といった業務だ」。

   また、彼は言う。

「医師や弁護士のような職業でさえ、ロボット化の波は避けられない。むしろ高給で専門分化された仕事の方がロボットに適している」

   高給取りの仕事をロボットに代替させる方が機械にカネをかけられるし、専門分化が進んでいる分野の方が容易にシステムに乗せられるからだ。

   例えば弁護士の業務は、過去のデータベースをコンピュータで分析することで人手を介さずに仕事の相当部分を済ますことが可能になってきている。今後、弁護士の仕事はどんどん減っていくだろう。

   今までに雇用が失われた最大の分野は、農業だ。1960年からの50年の間に、日本の農業就業人口は1200万人から250万人へ減少した。要は技術の発達によって、農業が雇用の主な受け皿ではなくなったということだ。

   これは先進国すべてに共通して起きている事象であり、同様なことが今後は製造業やサービス業で起きることが予想される。マーシャル・ブレイン(サイエンス・ライター)は、ロボットによって将来的に失業率が50%に上がる可能性を示唆している。

「100%余暇を楽しむ世の中」は来るのか

   コンピュータの世界に「ムーアの法則」というのがある。これは「CPUの能力は18か月から24か月で倍になる」というものだ。1971年にインテルがマイクロ・プロセッサー・チップを作ってから、今までほぼ正確にこの法則が当てはまってきたことが知られている。

   この法則が今後も続いていくと仮定すると、2040年から50年には、1000兆バイトのRAMと100京バイトの記憶装置を持つCPUが誕生することになる。人間の脳の処理能力と同等のコンピュータがついに我々のものになるということだ。

   値段はひとつ1000ドル(7万6000円)程度と予想される。このコンピュータにロボット、電池それに人工知能のソフトを取り付ければ、「人造人間」の誕生である(マーシャル・ブレインのウェブサイトによる)。

   こう書くと「そんな夢物語みたいなことが起きるはずがない」という反論が必ずくる。もちろん将来のことを、確実性を持って語れる人などいない。

   しかし一方で人間は、どうしても将来予測に関しては保守的になりがちだということを肝に銘じておく必要がある。日本中の人間が携帯電話で会話やメールを行っているなどという光景を、30年前に予測できていた人がどれだけいたであろうか。

   ロボットは24時間文句を言わずに働き続けるし、ケアレス・ミスなどということもない。そんなロボットと人間が競争しようというのは詮無い話だ。

   我々としては、ロボットでは代替できないであろう分野(例えばアート)に特化するか、労働はロボットにまかせて、自分は100%余暇を楽しむかのどちらかしか選択肢はないように思うが、どうだろうか。

小田切 尚登

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小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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