「上司とケンカして辞めた」と自慢げに語る人の「勘違い」

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「上司とケンカして、辞めざるをえなくなりました」

   転職面接で、なぜ前の会社を辞めたのか理由を尋ねたとき、こういう答えをまるで武勇伝のように誇らしげに返してくる人がいます。

   前職では無能でダメな上司についてしまったため、優秀すぎる自分は飛び出さざるを得なかった。そしてそれが自分の箔やキャリアになっている――。そう言いたいわけですね。

   話だけを聞けば、なんともスゴイ人のようですが、こういうタイプは結局どこに行っても同じことを繰り返す可能性が高い。採用側としては要注意です。

「自分の考えが通らなかった」のには理由がある

「俺って優秀なうえにひとこと多いから、上司は大変だよね」
「俺って優秀なうえにひとこと多いから、上司は大変だよね」

   この手の自慢が往々にして勘違いなのは、上司の立場で考えれば分かることです。ビジネスにおいて、自分がやりたいことを上司に通す力はとても大事です。それができないということは、本人が自慢げに言うほど能力が高くない。

   私たちは、相手が本当に優秀な人間であれば、ちゃんと意見に耳を傾けるものです。仕事ができて目に見えて結果を出している人間が会社にモノ申したとき、頭ごなしに否定する人はほとんどいないと思います。

   自分の意見が通らなかったのは「自分の意見を通してもらえる立場になかった」か、「能力を信頼されていなかった」「相手に伝える能力が低い」といった問題が考えられます。

   それでも「自分は悪くないけど、上がまったくバカだったので割を食った」と筋道立てて説明する能力だけは高い。それで聞いている方は、つい「なるほど」と納得して、うっかり採用してしまい、あとで泣きを見る人がどれだけ多いことか…。

   考えは間違っていなくても「その場に応じた適切な意見が言えない」という問題もあります。私が前職のリクルートで見てきた数百人の部下の中にも、こういうタイプがいました。たとえば雑誌の会議で「新聞に広告を出そう」という話をしているときに、

「いや、雑誌に感動がないからダメなんですよ! 感動することがなければ読者は動かない。大事なことはどうやって感動させるかであり、それを議論しないのは不毛です!」

などと語り出す。「いや、今の問題は明日の締め切りまでにA新聞かB新聞かを決めるということ。君はどちらがいいと思う?」と聞くと、こう答える。

「僕は木を見て森を見ずに話をするのって、おかしいと思います!」

集団の中で「とんがってる俺ってカッコいい」

   来月号の特集記事はどうしようかと話をすれば、「いや、記事をどうこうではなく、まずベースを見直す必要がある。ネットとの融合がないこと自体が間違っています」。

   なぜか必ず「そもそもコンセプトワールドが」「切り口が」「時代が」と、現実の問題点や論点とは違うレイヤーから切り込んでくる。言うことは正しいけれど、言う時と場所がまったく正しくないのです。

   わかった、その話は興味があるから後でゆっくり聞こう、と言って会議を進めると、今度は部屋を飛び出し、役員に「うちの部長は大局的な話ができない。数字ばかり追いかけていて現場の各論しか言わない!」と吠え出すしまつ。もう、大変も大変です。

   このタイプは、集団の中で自分が「とんがってる人」でありたいわけです。乱暴な言い方をすれば、上司が少々持て余すような「優秀すぎる人」でいたいのです。

「俺って優秀なうえにひとこと多いから、上司は大変だよね。俺、嫌われているかもしれない。でもね、俺の言うことは半年、1年後にはきっとみんなわかると思うよ。ま、うちの上司なんかは“サラリーマン”だから分からないと思うけどね」

   本人はそう言いながら、こんな俺ってカッコいいと思っています。しかし、勘違いも甚だしい。こちらからしたら、「君こそ分かってないだろう。君が優秀じゃないから大変なんだよ!」と言いたくもなります。

   こんな目に遭わないためにも、「上司とのケンカを自慢する人」は原則的に採らない、引き受けないことが大前提です。人の性格を変えることはできません。一度採ってしまったら、性格を理由に辞めさせることなど簡単にはできないのですから。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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