「10年後に残っている仕事」なんて誰にもわからない では今、何をするべきか

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   先日の日曜日のこと。筆者は家で使っているプリンタのインクが切れたので、すぐにアマゾンで注文した。午前中にオーダーしたので、その日のうちに届くらしい。


   筆者はその後、昼食のついでに近所の大手量販店にも立ち寄ってみた。いくつあっても困るものではないから、あればその場で買おうと思っていたためだ。でもあいにく在庫は無く、店員が申し訳なさそうに頭を下げてきた。


   「すいません、ちょっと今在庫を切らしてまして……注文頂ければ数日で届くと思いますが、どういたしましょうか?」

何が不衛生で何が安全かは消費者自身が決めればいい話


   もちろん、筆者は丁重に断って店を後にした。ひょっとしたら電池くらいは買いに来ることもあるかもしれないが、基本的に筆者がこの店に来ることはもうないだろう。今、日本中で家電量販店が苦戦を強いられている。やはり、アマゾンをはじめとするネット通販との競合が原因だ。個人的には、いずれ家電量販店は淘汰される運命にあると思う。


   といって、何も悲しむ必要はない。なぜなら、我々の暮らしはもっと便利になるのだから。笑って新たなサービスを享受していればいい。


   世の中には「洗髪台がない床屋は不衛生だ」といって千円カットを規制したり、「弁当の路上販売は品質管理に問題あり」といってお弁当屋さんを追放したりする頭の悪い人達もいるが、何が不衛生で何が安全かは消費者自身が決めればいい話だ。結果、仕事が無くなってしまう人もいるだろうが、そういう人は別の新しい仕事を自分で見つければいい。


   政府が出来るのはその仕事探しのお手伝いであり、今ある仕事が無くならないように規制したり、お金をばらまいたりすることは、長い目で見れば経済のクビを絞めるようなものだろう。

社内限定スキルばかり身につけてしまっていないか


   もう一つ筆者が気付いたことがある。それは「10年後に残っている仕事」なんて誰にもわからないということだ。今から7、8年前あたりには、ヤマダ電機やビックカメラといった巨大家電量販店グループがもてはやされた時期があった。スケールメリットを活かしメーカーより強い立場で価格決定の主導権を握る彼らを「モノづくりから流通の時代に」と特集した経済誌があったことも記憶している。


   だが、十年経たずにこれである。当時「量販店で現物をチェックしてスマホでオーダーすればその日のうちに自宅に届く」という未来を予想出来た人なんて、誰もいなかったはずだ。恐らく、十年後にはびっくりするような新サービスが出現して、今は安定している仕事のいくつかは消失しているに違いない。


   であれば、エネルギーは「残りそうな仕事を探すこと」ではなく、「仕事が消えても柔軟に対応できるキャリアを身につけること」に振り分けた方がいい。筆者から見れば"残りそうな仕事"に身を置いて安心している人というのは、スポーツ新聞の競馬予想の本命馬を一点買いして喜んでいる人みたいなものだ。


   というと「忙しくて資格取ったり留学したりする暇が無い」という人も多いだろうが、日常業務の中でも出来ることはいくらでもある。今の自分がタコツボの中で仕事をしていないか、社内限定スキルばかり身につけてしまっていないか、社外の人脈はどれくらい持っているか。そうした点に日ごろから気をつけておくだけでも、キャリアの柔軟性は飛躍的に高まるものだ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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