2024年 4月 20日 (土)

「雇用を守る」が最大の目的 企業が「長寿」になる経営とは

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   創業から150年を経て、いま5代目が経営している自動車部品卸し会社が、中部地方にある。面談した時、経営者にしては珍しく、情けなさそうな顔をして、こう漏らした。

「この間ファンドが来て、『税引き後利益2%程度なら、会社を売って、キャッシュに換えた方が利回りが良いですよ。ぜひ考えてください』だって。ほんとうに悔しかった。何のために事業をしていると思ってるんだ・・・」

   ファンドの指摘は、オーナーが事業を行い、資産を持つ意義とは、「それがいくらの利益を毎年もたらしてくれるのか」であり、現金や土地に換え、運用して利益が高まるなら、そうすべきだという話だ。社長の悔しげな表情の裏には、自分の利益のために経営しているのではない、という憤怒が見えた。

数々の時代の変化、出来事をのり越えてきた

長寿企業の知恵を紹介(写真はイメージ)
長寿企業の知恵を紹介(写真はイメージ)

   事業経営や資産保持の目的について、このファンドと同じように考える人は多い。経営者の中にも少なくない。

   しかし、今回紹介した会社をはじめ、長寿企業の場合は違う。なにせ、関東大震災(1923年)も、第2次大戦も、バブル経済も、リーマンショックも、数々の時代の変化、出来事をのり越えた物質的、精神的資産に支えられている。

   では、長寿企業における経営の最大の目的とは何か。その核となるのは、

「長年、勤めてくれている社員の雇用を守るんだ」

という思いだ。

   これは、筆者が行った「創業から100年を超える」長寿企業300社以上のアンケート調査や面談から浮かんできたもので、これこそが、幾多の荒波を乗り切ってきた長寿企業経営者の共通認識だ、と確信している。

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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