【夜景を「見たままの印象」で普通紙に印刷できる世界初の技術を開発】
記事配信日:
2026/03/04 13:59 提供元:共同通信PRワイヤー

2026年3月4日
学校法人金沢工業大学
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M103034/202603045006/_prw_OT1fl_j96fTb5o.png】
2026 年3月4日
国際高等専門学校の大塚 作一教授の研究グループが、2025年12月3日から5日まで広島国際会議場 (広島県広島市)で開催された「IDW2025(The 32nd International Display Workshops)」 において、Best Paper Award を受賞しました。
IDWは、ディスプレイ技術と画像処理分野の研究者が世界中から集う、国際的に最も権威ある学術会議の一つです。
本研究は、「夜景を見たままの印象で普通紙に印刷できる世界初の技術」を実現したもので、従来の印刷方式では不可能だった「自然な夜景」を再現できる点が高く評価されました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202603045006-O2-735M4A4Q】
【受賞論文について】
■タイトル:
Printable Moderate-Dynamic-Range (MDR) Image Generation Employing High-Dynamic-Range (HDR) Image Capture Technology Aligned with Human Circadian Behavior
(日本語訳)
人間の概日リズムを考慮したハイダイナミックレンジ(HDR)撮影画像からの印刷可能なモデレートダイナミックレンジ(MDR)画像の生成技術
■著者:
大塚 作一(国際高等専門学校)
林 道大(国際高等専門学校)
比良 祥子(鹿児島大学大学院理工学研究科)
岩井田 早紀(鹿児島天文館メディカルカレッジ)
研究の概要
本研究は、「夜景を見たままの印象で普通紙に印刷できる世界初の技術」を実現したものです。
夜間・夕方の光環境は、現実世界では 10⁵:1 以上の超ダイナミックレンジ を持ち、人間は「薄明視」と呼ばれる視覚特性でこの全ての領域を知覚することが出来ます。
しかし通常のディスプレイ表示画像(SDR:Standard Dynamic Range)は 約200:1以下 のコントラストしか扱えず、夜景の表示では以下の問題が生じていました。
・明るい光源が白飛びする
・ 暗部が黒く潰れ、階調が失われる
・ 実際の肉眼での印象とは大きく異なる
・ 印刷すると画質が更に大幅に低下する
大塚教授らは、HDR(High-Dynamic-Range)撮影技術と、人間の 概日リズム(サーカディアンリズム) に基づく独自の視覚モデル「Normalized Visual Percept(NVP)」を応用し、MDR(Moderate-Dynamic-Range)画像 という新たな画像形式を提案しました。
技術のポイント
① 人間の視覚モデルに基づく2段階変換処理
HDR → hSDR*1 → hMDR*2 という2段階の画像変換方式を開発。
特に、日内の視覚変化(朝/昼/夕/夜)を反映する独自のGTM*3カーブ を導入し、夜景の自然な再現に成功しました。
*1 hyper-realistic SDR
*2 hyper-realistic MDR
*3 Global-Tone-Mapping
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202603045006-O1-74Tt0Y77】
参考図1 従来技術との比較:(1) 左上が物理的に正しいHDRの写真(昼間見ると真っ暗に見える)、(2) 右上が従来のSDR画像(昼間見ると色が濃く、ハイライトと暗部がつぶれている)、(3) 左下がHDRトーンと呼ばれる従来の改良技術(昼間見ると色が鮮やかすぎて、全体的には暗く見える)、(4) 提案手法(hMDR)では自然な印象の画像が生成され、かつ、印刷も可能。
② 約30:1の低コントラストでも“自然に見える”画像を生成
極端にダイナミックレンジを圧縮しても、人間の知覚に重要な 光源まわりの明暗構造や色トーン を保持できます。
従来の印刷方式では不可能だった「自然な夜景」を再現できる点が高く評価されました。
③ 高価な光沢紙を使用せず、普通紙(マット紙)での高品質印刷が可能
一般的なマット紙を使用した場合でも、従来SDR印刷より 知覚的自然さが大幅に向上することが、実験で示されました。
■ 本研究の革新性
本研究は、以下の点で非常に革新的です。
● 夜景印刷の根本的な限界を打ち破った
物理的には 超高ダイナミックレンジ の夜景を、極端に低いレンジ(約30:1)で自然に再現できる 点が、発表者の知る限り世界初の成果となります。
● 人間の概日リズムを画像処理に取り込んだ新発想
前回の報告(https://www.ict-kanazawa.ac.jp/2024/07/23/28292)では、人間の「朝型/夜型」といった 個人差ある明るさ知覚 を考慮するという研究手法自体が独創的で、画像処理分野に新たな理論的枠組みを提示しました。今回は、昼間とは格段に明暗の知覚範囲が広がる夜間の人間の視覚特性「薄明視」の実態を始めてGTMカーブにより具体的に明らかにしました。
● 昼間の室内で印刷画像を見ても「夕方や夜の光源」を自然に知覚できる
「印刷物は反射光、光源の質感は出ない」という従来の常識を覆し、人間の視覚特性を巧みに利用することで、印刷物でも 「光って見える」という新現象を再現しました。
これらの要素が総合的に評価され、IDW2025における 最優秀論文賞(Best Paper Award) 受賞につながりました。
今後の展望
本技術は、以下の分野での応用が期待されます。
・夜景写真・天体写真の高品質印刷
・電子ペーパー等の反射型ディスプレイへの応用
・美術・文化財アーカイブ分野での“現場の光”の再現
・防災・交通分野での夜間視認環境のシミュレーション
また、大塚教授は今後、室内HDR環境の再現技術への応用を計画しています。
■ リンク(参考)
IDW2025公式サイト
https://www.idw.or.jp/index.html
IDW Awards
https://www.idw.or.jp/award.html
配信会社から提供を受けたコンテンツやプレスリリースを原文のまま掲載しており、J-CASTトレンドが制作した記事ではありません。お問い合わせは配信会社・プレスリリースの配信元にお願いいたします。