全回を欠かさず見ての結論。これは「策士策に溺れた」ドラマであった。つまり、脚本の浅野妙子にしても他のスタッフにしても、大成功した前回の「ラスト・フレンズ」の味が忘れられず、エキセントリックな設定に引き摺られすぎた。加えて季節はクリスマス、教会で音楽を指導する純真無垢な青年と、不幸のテンコ盛りのような美少女を組み合わせ、それに男同士の愛や、寝たきりの恋人の蘇生や、過去の両親殺しや、これでもかこれでもかと劇的な要素を盛り込んだら客(視聴者)を引っ張って行けると考えたのだろうが…。それで人間が上等に描けるとは限らないのだ。
引っ張りだこの堀北真希(佳音役)の、不幸の陰ある美少女ぶりと、歌手畑の北川悠仁(殉也役)という新鮮さを認めるに吝かではないが、北川は演技がワンパターン。殉也の元恋人・聖花(内田有紀)が植物人間状態から甦ったと思ったら、最終回では聖花の飛び降りの巻き添えで記憶喪失になった殉也が、またまた最後に記憶を取り戻す。いい加減にせんかい。
金まみれで流行を追いかける最近の若者文化からは縁遠く、キリスト教という精神世界の周辺に生きる地味な青年たちの愛もあるという主張は出ていたが、それがクリスマス時期だけのアダ花でないことを祈りたい。劇的な設定で引っ張るより、本来、上質のドラマは普通の人々の日常から見出すもの、それが1番難しいのである。
(黄蘭)

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