劇薬・マイナス金利「バブルとデフレ」ウハウハの不動産関連、萎縮する消費者!だれも先が見えない

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   日銀は16日(2016年6月)に開いた金融政策決定会合で、「マイナス金利」の続行を決定した。これを受けて株価は下落し、円高は103円代後半にまで進んだ。黒田総裁も「(マイナス金利政策の)効果が出るには時間がかかる」と逃げる。導入から4か月の「効果」はどうなのか。

   マイナス金利は市中銀行が日銀に預ける当座預金の一部に適用される。預けると「手数料」をとるぞ、だから企業や家計に貸し付けて金を動かせという政策だ。「デフレ脱却」を目指す究極の金融緩和策だが、副作用がある劇薬でもある。

   名古屋で行われたある投資セミナーは不安を抱える高齢者でいっぱいだった。堅実に資産運用を心がけてきた人ほど不安は大きい。定期預金金利はゼロすれすれ、保険会社や資産運用会社は運用が厳しくなり、投資信託や学資保険で販売停止に追い込まれるものもある。副作用は深刻だ。

活気づく住宅ローン借り換え、リフォームローン

   思わぬ恩恵を受けているのは住宅ローンである。金利の低いローンに借り換えることで、返済金額は同じでも期間が短くなり、返済総額は驚くほど少なくなる。「480万円減りますね」と聞いたら誰だって飛び上がる。これで浮いたお金は子供の養育資金にあてるなど、新たな消費に回せる。日銀の狙いはここにある。

   リフォーム業界も活気づいている。銀行が資金をすぐ貸してくれる。「変動金利で1%」という提案を受けて、900万円のリフォームを全額ローンで賄おうという夫婦もいた。業者は「若い人たちが多い」という。

   ただ、NHK経済部の芳野創記者は「効果はまだ限定的」という。総務省が毎月出している推計では、消費はこの4月まで8か月連続して前年同期を下回っている。先行きへの不安から節約志向が深まっているのだ。

   消費が動かない中、融資拡大を迫られる地方銀行も必死だ。東海地方はもともと金融機関同士の客の奪い合いが激しく、低金利競争は「名古屋金利」と呼ばれ、全国平均を大きく下回る。ここへ他県の銀行も参入してきて、「限界」レベルにあるという。

   貸出先もすんなりとはいかない。あるプレス加工会社社長には苦い経験がある。設備投資直後にリーマン・ショックに襲われ、受注が激減して多額の借金が残った。「金融機関から融資の申し入れは増えたが、低金利には飛びつかない。事業計画に必要な分だけ調達する」

   東海地方に10店舗を持つ食品スーパー「山彦」はおととし10億円以上も売り上げを伸ばし、新店舗を計画した。しかし、銀行の低利融資を受けられずにいる。人手不足だ。「ものはある。金は借りやすくなったが、一番難しいのが人だ」という。確保した素晴らしい立地もあきらめざるをえなかった。

   こうした中、愛知銀行ではコンサルティング機能の強化を図っている。たとえば、畳を作る機械メーカーには、中国で畳ブームを起こすプロジェクトを提案した。設備投資、運転資金はどうぞというわけだ。渉外担当者は「こういう活動を続けることで、生き残っていく」と言った。低金利は数ある条件のひとつに過ぎないということか。

超低金利時代の生活防衛術「増やすよりムダな『出』減らせ」

   マイナス金利を積極的に生かす方策はあるのだろうか。フィナンシャルプランナーの嶋敬介さんは、優遇措置を活用する、手数料で損をしないの2つを挙げた。優遇措置のなかには年金保険の最高4万円の控除もある。これは利回りでいうと6%以上に相当する。また、住宅ローンでも金利だけでなく手数料を含めて考える。コンビニで何気なく引き下ろしている現金も、手数料はバカにならないと指摘する。発想を変えて、増やすだけでなく守る、減らせる分を増やすことだというのだ。「ライフプランを立てて、工夫と選択です」

   もともと経済政策に正解なんかない。アベノミクスにしても「成功している」「失敗だ」とどうにでもいえる。失敗がわかるのはずっと後になってからだ。「マイナス金利」もしかり。となると、自分で身を守らないといけないのか。それは世知辛いぞ。

NHKクローズアップ現代+(2016年6月16日放送「徹底検証 マイナス金利政策」)

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