2024年 4月 26日 (金)

環境ビジネス

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

現状

2000年の市場規模は約30兆円

   環境ビジネスはたくさんの業種にまたがって存在することもあって、種類も多く、その裾野も広い。大別すると、太陽光や風力発電、燃料電池といった「クリーン・エネルギー」、水質や排気の浄化などの「環境技術」、ごみ処理、分別といった「資源リサイクル」、そして環境ISO取得を支援する「環境サポート」などである。

   環境省のまとめによると、日本における2000年の環境ビジネスの市場規模は29兆9千億円で、76万9千人の雇用を生み出している、としている。現状で売り上げ規模が大きいのは、(1)廃棄物処理のサービス、施設製造・建設、(2)資源の回収や再生(リサイクル)、の2つである。
   環境省の推計だと、2010年には市場規模は47兆2000億円、雇用規模は111万9千人、2020年にはそれぞれ58兆4千億円、123万6千人となっている。同省は04年版環境白書の中で、こうしたうねりを新しい社会の発展と位置づけ、「環境革命」と名づけた。

二酸化炭素の国別排出量 2000年

「教育・情報サービス」も伸びる

   売り上げや雇用が将来伸びる分野は、光触媒など「大気汚染防止関連機器の製造」と燃料電池、新エネルギーなどの「省エネルギー」分野、そして環境報告書、ISO取得のためのコンサルといった「教育・情報サービス」などだとしている。
   一方、経済産業省は21世紀の成長分野として、「情報・通信」のほか、「介護・高齢者支援」とならんで「環境」をあげている。この背景には、近年よく使われるようになった「持続可能な発展のための経済」という概念がある。自分たちが成長したり、利益を上げたりするために、後の世代に「負の遺産」を残してはいけない、という考え方だ。つまり、環境に悪影響を与えない「ものづくり」「サービス」をしていこう、というわけで、これが徹底すれば環境対策そのものが、ビジネスになり、市場規模は急速に膨らむ、と見られている。

歴史

公害防止が最初の環境ビジネス

東京の昭和通りで起きる激しい交通渋滞
東京の昭和通りで起きる激しい交通渋滞

   1950年代から60年代にかけて、高度成長の終わりごろになると、そのゆがみともいうべき、さまざまな問題が日本各地で噴出する。「パブリック・ニューサンス」、公害である。いわゆる4大公害病(水俣病、第二水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく)が表面化、企業に対する環境規制が始まり、これとともに水質や大気汚染防止機器が最初の環境ビジネスとして登場する。
   第二の転換点は、1970年代に起きた二度の石油危機である。石油価格の高騰により、企業は、「省エネルギー」の徹底に走り、それが商品となり、日本の競争力を強化する結果となった。それとともに、これまで豊かさの象徴だった「大量生産、大量消費」が否定され、「よいものを安く」から「安全で、環境にやさしい」リサイクルできる製品が登場し始める。
   90年代に入ると、「企業の社会的責任」の観点から、環境への取り組みが求められるようになった。環境に配慮しない企業は、最終的に消費者にそっぽをむかれ、競争力を失う、という考え方で、株価や投資にもこうした尺度が導入されつつある。ここで出現したのが、環境ISO取得コンサルや、EMS(環境マネジメントシステム)人材養成といった「サポート」の仕事である。

排出権ビジネスに大手商社や金融機関などが参入の構え

   第四は地球温暖化防止を定めた京都議定書である。2005年2月に発効する議定書は、先進各国に二酸化炭素(CO2)、フロンなど温暖化ガスの削減を義務づけている。日本の場合2008-2012年の排出量を1990年と比べて、6パーセント減らす必要がある。しかし、現実には達成が難しい。このため、議定書は「排出権」という仕組みを導入した。海外で植林などの「省エネ事業」を実施すると、その企業が「排出権」を獲得し、他の企業に転売できる仕組みである。

日本の二酸化炭素排出量 2002年度

   欧米では排出権の取引業者が次々と誕生、日本でも大手商社や金融機関などが参入の準備を進めている。排出権の商品化が実現すると、国内取引だけでも年1兆円を超える、という予測もあり、経済産業省でも取引ルールの整備を急ぐ方針だ。

将来を展望するための3つのポイント

ポイント1
新エネルギーの普及進むか

日本の環境ビジネスの市場規模と雇用規模の現状と予測

   日本は京都議定書で二酸化炭素など温室効果ガスの排出量の削減目標を掲げたが、原発の新規立地が難しいだけに、達成には新エネルギーを拡大しないといけない。風力や太陽光、生ごみを利用するバイオマス発電などが柱になるが、産業として成立するかは、いまだに不透明だ。経済産業省によると、1キロワット当たりの発電コストが石油約10円、原子力約6円に対し、太陽光は70円程度と高い。風力発電の場合、比較的コストは安いが、安定的に供給することは困難だ。こうしたことも手伝って、日本の新エネルギー比率は主要国の中でも圧倒的に低い。

ポイント2
燃料電池開発競争で勝てるか

   環境ビジネスの将来の主役と言われているのが、燃料電池である。水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する仕組みで、温暖化を招く二酸化炭素も出ず、生じるのは水だけ。すでに家庭用燃料電池は実用化が近く、2005年春に首相官邸にも東京ガス製の装置が導入される。また、自動車については、世界のメーカーが開発にしのぎを削っているが、コストやインフラ(基盤整備)の面で難しいところがあり、実用化にはまだ時間がかかりそうだ。
   燃料電池は小さな化学プラントのようなもので、素材から微細加工技術、さらにエンジニアリングなどさまざまなノウハウが必要とされる。その意味で日本お得意の「総合力」の勝負となり、有利だとの見方も出ている。

ポイント3
環境税導入できるか

   政府の内部では、環境・農林水産省が、化石燃料の使用を抑制するため、石油や石炭などの燃料に課税する環境税導入に積極的だ。税収を省エネ技術の開発などに振り向け、環境分野での技術先進国入りを目指している。ただ、鉄鋼などエネルギー消費型の素材産業や、電力など産業界は「税による価格上昇が国際競争力を弱める」として強く反対している。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中