2024年 5月 2日 (木)

竹中総務相 NTTに完敗

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   竹中平蔵総務相が仕掛けた通信・放送改革は自民党の抵抗の前に、もろくも頓挫した。竹中氏は当初「通信と放送の融合で日本経済の潜在成長率を引き上げる」ことを旗頭に、特に通信市場の競争促進に向けて、ガリバー、NTTグループの持ち株会社制廃止や東西会社、ドコモなどグループ各社間の資本分離に道筋を付けようと意気込んでいた。

2010年の時点で検討と、議論を先送り

西新宿にあるNTT東日本本社。竹中氏の改革はどうなるのか
西新宿にあるNTT東日本本社。竹中氏の改革はどうなるのか

   これまで官僚や自民党の旧来勢力を守旧派として攻撃し、改革を進めてきた竹中氏にとって、固定電話市場のシェアの9割以上を握り、携帯電話でもシェア5割を超すドコモを抱えるNTTグループは格好の標的。1999年のNTTの持ち株会社制採用による分割以来、手付かずだったNTT再々編に道筋を付けられれば、「大手行の不良債権処理や政府系金融機関改革、郵政民営化に続き、政治家として勲章になる」と竹中氏周辺では期待が高かった。
   しかし、06年6月22日に公表された「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」は、竹中氏のNTT改革構想が空振りに終わったことが如実に示す内容となった。私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」(座長・松原聡東洋大教授)の報告書がNTTの完全分割も念頭に通信改革の議論を急ぐ方針を打ち出したにも関わらず、政府与党合意は「NTTの組織問題はブロードバンドの普及状況やNTTの中期経営戦略の動向も見極めたうえで2010年の時点で検討を行う」と、議論の先送りを示す内容になったからだ。さらに、NTT東西が持つ加入者回線網の機能分離に関しても「現実味がない」(自民党幹部)として完全に退けられた。

竹中氏の「私的懇談会方式」も封印

   しかも、政府与党合意は「合意の各項目に関する検討や実施の工程は、総務相が与党の了解を得て管理していく」とも明記。竹中総務相が再び、私的懇談会のような形式でNTT改革議論を再び進めることがないようにまでクギを刺す徹底ぶりで、竹中通信改革構想は竜頭蛇尾の結果に終わった。
   小泉政権の任期切れが迫る中、竹中氏の政治的権力が低下していることが大きく影響しているが、一方で政府内では「小泉政権が掲げる『2010年度にブロードバンドゼロ地域を解消する』との目標達成をNTTグループに頼っている以上、現段階でNTTの嫌がる資本分離の問題を持ち出すのはそもそも無理があった」と冷めた見方もある。
   そんな竹中氏だが、実はNTT改革を思い通りに進めるチャンスが一度だけあった。それは、今春のNTTの役員改選で2期4年の任期を今年迎える持ち株会社の和田紀夫社長を退任に追い込み、NTT改革に前向きなトップを後継に据えることだった。しかし、竹中氏が動けないまま和田続投が決まり、総務省では「その瞬間に竹中NTT改革論の死命が決した」と語られている。

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