2024年 4月 26日 (金)

長谷川洋三の産業ウォッチ
金融: サーベラスグループの「親日」発言

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「われわれは敵対的なM&A(合併・買収)はしない。日本のよりよき企業市民になる」
(We don't have any of hostile M&A. We want to be a good corporate citizen)――。

   米・ニューヨ-クに本部を置く有力国際投資ファンド、サーベラスグループのグローバル・インベストメンツ・エルエルシー会長を務めるダン・クエール元米副大統領は2007年2月20日、東京・芝公園の東京プリンスホテルタワーで開いたサーベラスジャパン設立10周年を祝う記念パーティで私にこう断言した。米系投資銀行のスティール・パートナーズがサッポロホールディングスにTOB(株式公開買い付け)を提案するなど、投資ファンドの活発な買収攻勢が日本企業に警戒心を植え付けていることを念頭に置いた発言と見られる。

   サーベラスグループは、98年のサーベラスジャパン設立以来、あおぞら銀行(旧日本債権信用銀行)をはじめ、日本に対しこれまでに80億ドルを超える積極的な投資を行っており、オリックス東京海上日動などと協力してあおぞら銀行を旧日本債権信用銀行の経営破たん以来8年ぶりに再上場させるなど成果をあげている。クエール会長は、米元副大統領の経歴よりプロゴルファー並みのゴルフ歴で有名といわれ、そのゴルフ人脈で投資先の信用を獲得したとも言われる。「日本におけるよき企業市民を目指す」との発言も、ゴルフを通じて日本で多くの友人、知人を得たことの自信の現われとも言えそうだ。「日本には昨年だけで6回来た。今年も昨年並みの回数はくるだろう」と親日ぶりを強調した。

   パーティ会場には、金融関係の国会議員や、友好関係にある西武ホールディングスの後藤高志社長、富士ゼロックスの小林陽太郎最高顧問、ソニーの出井伸之顧問なども顔をのぞかせ、米系ファンドの次の一手を見守った。「手の入れ方によっては元気になる日本企業はまだまだあると見た外国ファンドの活発な動きは続くだろう」と小林最高顧問は語ったが、すべてが友好的なM&Aになるかどうかは、なお注意が必要だ。


【長谷川洋三プロフィール】
経済ジャーナリスト。
BSジャパン解説委員。
1943年東京生まれ。元日本経済新聞社編集委員、日本大学大学院客員教授、学習院大学非常勤講師。テレビ東京「ミームの冒険」、BSジャパンテレビ「直撃!トップの決断」、ラジオ日経「夢企業探訪」「ウォッチ・ザ・カンパニー」のメインキャスターを務める。企業経営者に多くの知己があり、企業分析と人物評には特に定評がある。著書に「ウェルチの哲学「日本復活」」、「カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」」(いずれも講談社+α文庫)、「レクサス トヨタの挑戦」(日本経済新聞社)、「ゴーンさんの下で働きたいですか 」(日経ビジネス人文庫)など多数。


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