2024年 4月 26日 (金)

朝日・毎日VS読売・産経 米の慰安婦決議で新聞社説真っ二つ

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   米下院外交委員会で、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦に関して日本政府に謝罪を求める「慰安婦決議」案が可決された。これを受けて2007年6月28日の全国紙の朝刊は、ほとんどが社説でこの問題を取り上げた。ただ、朝日・毎日が日本政府を批判、読売・産経は逆に米議会を批判するなど、評価は「真っ二つ」に分かれている。

   決議案は、「日本政府は、帝国軍隊が若い女性に性的奴隷を強制したことに対して明確に公式な謝罪をすべきだ」「慰安婦制度は20世紀最大の人身売買事案の一つ」などとしている。07年7月中にも本会議で初めて可決される可能性が高まっている、とされる。

「米議会人の見識疑わせる」と読売

米議会の「慰安婦決議」を巡り、社説の意見が分かれた新聞各紙
米議会の「慰安婦決議」を巡り、社説の意見が分かれた新聞各紙

   各紙の見出しもスタンスの違いが現れた。慰安婦問題そのものを問題視したのは、「米議会の『誤解』の根元を絶て」とうたった読売新聞と、「事実を示し誤解を解こう」とした産経新聞だ。決議案そのものに対する評価についても、読売新聞は「全くの事実誤認に基づく決議である」「事実をきちんと確かめることもせず、低水準のレトリックに終始した決議案だ。米議会人の見識を疑わせる」と反発している。

   産経新聞も「『日本政府による軍用の強制的な売春』と決めつけるなど、多くの誤りを含んでいる」「日本の官憲が奴隷狩りのように強制連行したという説が一部で流布されたこともあるが、日本政府が(略)集めた(略)資料の中には、そのような事実を示す証拠は1点もなかった」と決議案が前提とした認識を批判している。

   日本政府の姿勢に注文をつけたのは、朝日新聞の「首相は深刻さを認識せよ」と毎日新聞の「安倍外交にも問題がある」、東京新聞「慰安婦決議案 日米間のトゲにするな」。

「糾弾の意味は重い」と朝日

   朝日新聞は「日本が過去の過ちを反省していないと、米議会が国際社会の面前で糾弾している。その意味は重い」と受け止めた。「決議案に疑問がないわけではない」として、「軍の関与を認めて」政府として慰安婦問題を謝罪した河野談話の位置付けが不十分な点などを挙げている。しかし、「慰安婦の残酷さを非難する決議案のメッセージは、真摯に受け止める必要がある」と重視する姿勢をみせ、「日本がそんな国と見られているのかと思うと残念であり、恥ずかしい」とも述べている。東京新聞も「歴史的な暗部を直視し(略)」「多数の女性の名誉と尊厳を損なった責任を受け入れ(略)」と、やはり決議案が前提とした認識を受け入れている。

   毎日新聞は、過去の経過の記述が多い。「米国民を代表する議員の意思表示は重く受け止めねばならない」と主張はしているが、直後に日米関係への影響を懸念する記述が続き、外交面の配慮の観点からの主張であることがうかがえる。決議の前提を「誤解」と批判するのか、基本的に受け入れるのかは触れていない。

   ちなみに日経新聞の28日朝刊の社説は、香港経済の問題とスーダンの紛争問題に関するものだった。

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