2024年 5月 3日 (金)

東証が「グレー企業」株扱う「特設注意市場」創設

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   東京証券取引所は、有価証券報告書の虚偽記載などの法令違反をしながら、「上場廃止」を免れた「グレー企業」の株を取引する新たな市場「特設注意市場」を設ける。2007年10月をめどに実施する大規模な上場制度改正の柱と位置づけている。利益水増しを行ったにもかかわらず、「黒」ではなくて「グレー」と判断されて上場を維持できた日興コーディアルグループを巡る問題の深刻さが、新市場創設の引き金になった。

   東証の現行の制度では、(1)有価証券報告書の虚偽記載(2)財務諸表の監査報告書での不正意見(3)上場契約の違反――などの不正を行った企業は「監理ポスト」に指定して不正の重大性を審査する。その結果、悪質性が高いなど、重大性があると判断した場合は、「整理ポスト」に移行し、最終的には上場廃止にする。

「日興の上場維持」への不信感がきっかけ

「グレー企業」株扱う「特設注意市場」が設けられる
「グレー企業」株扱う「特設注意市場」が設けられる

   しかし、審査で「重大性がない」と判断されれば、監理ポストの指定を解除して、通常の市場に戻すだけだ。上場廃止と上場維持の間には企業の生き死にもかかわりかねない天と地ほどの差があるのに、問題企業への対処は、いわば「死刑」と「無罪」の二者選択しかないことに、批判の声が高まっていた。

   こうした批判は日興の上場維持を巡る問題でクローズアップされた。

   日興の上場維持を決定した時の記者会見で、東証の西室泰三社長(現会長)は「グレーの部分がまったくないとは言わないが、グレーを罰することはできない」と説明した。日興の不正への組織的な関与が「グレー」であるとは認めつつ、市場に与えた影響は重大とは言えないと結論付けたわけだ。

   これにより、日興は市場からの退場という最悪の事態を避けることができたが、この判断について「不透明だ」との不信感が残った。

「要注意企業」と知らせて監視下に

   こうした事態を受けて、東証は、監理ポストの審査で重大性がないとされた企業でも、内部管理体制の改善が必要と認めた企業については、「無罪放免」するのではなく、「特設注意市場」を新たに設けて、ここに入れようというのだ。

   指定された企業は1年ごとに内部管理体制の確認書を東証に提出しなければならない。この内容に特別な問題がなければ、従来の市場に戻れる。しかし、内容に引き続き問題があれば指定は解除されず、3年を経ても問題が解決しなければ最終的には上場廃止にする――という仕組みだ。

   特設注意市場に指定すれば、問題をもった企業であることを投資家に周知させることができ、東証の監視の目も強まる。もちろん、不正を犯した企業が、緊張感をもって内部管理体制の整備に取り組むことが最大の眼目だ。

   この新たな制度に従えば、「日興も特設注意市場に指定されていたかもしれない」(市場関係者)と見る向きが多い。「あれだけの問題を起こしながら、日興コーデュアルを『無罪放免』せざるを得なかったことが東証にとっては"無念"だったのだろう」との声も聞こえる。

   新制度を、問題企業の延命でなく真の再出発の場にするためには、厳格な運用が欠かせない。

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