2024年 4月 27日 (土)

「報道規制」と集中砲火 同意人事巡る民主党の「変な理屈」

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   民主党が各マスコミの集中砲火を浴びている。国会同意が必要な人事案について「事前に報道された案は原則認めない」と与野党が合意したのは民主党の主導とされているからだ。全国紙がそろって社説などで批判を展開している。

「なんと不見識な」(読売)「何たる勘違い」(毎日)

同意人事を巡る合意内容が「報道規制だ」と批判を受けている。
同意人事を巡る合意内容が「報道規制だ」と批判を受けている。

   ことの発端は、2007年10月25日付朝刊で朝日新聞が自民、公明両党が同意人事28人を了承したと報じたことなどに民主党の西岡武夫参院議運委員長が激怒したことだ。国会に示される前に情報が漏れたことが気に入らなかった模様で、すべての案件を本会議に上程することを拒否した。西岡氏は提示前に同意人事案件をマスコミが報道した場合に当該者の提示は受け付けないよう求め、自民党の笹川尭衆院議運委員長と協議し最終的に「原則として」の文言を入れた覚書をまとめた。10月31日に両議運委員長によって合意文書が交わされた。マスコミが事前に人事を報道した場合、政府は報道と違う人を提案しなければならなくなるという訳だ。

   「なんと不見識な」(読売)、「報道の自由を侵すな」(朝日)、「何たる勘違い」(毎日)、「納得できない」(日経)と11月2日付朝刊各紙の社説は、合意内容を「事前報道規制だ」として批判した。産経新聞も総合面で「民主『報道規制』に批判続々」と見出しをつけた記事を掲載した。

   各紙の論旨は似通っており、「持ち出したのは西岡参院議運委員長」(毎日)だ。「人事を報道するのは、それが国民の知る権利に応えるもの」で「その人物は(略)政権の恣意的な思惑はないか、判断材料を提供しなければならない」(朝日)と公表前に人事を報じる意義を強調している。西岡氏が人事の事前報道について「国会の同意人事が形骸化する」と述べたことに対しては「妙な理屈である。同意、不同意の決定権は国会にある。報道の有無にかかわらず、粛々と審議をすればよいことだ」(読売)。さらに「政争の具に使われ、意図的なリークなどで人事をつぶすといった混乱が起きる恐れもある」(日経)との懸念も示している。産経新聞は、政治評論家の屋山太郎さんの「人事がマスコミに漏れたら代えるというのは実に子供っぽく、くだらない発想だ」という見解を紹介している。

「観測記事を書く分には自由だ」という変な理屈

   批判があるのはマスコミからだけではない。自民党の大島理森国対委員長は、報道が正しいかどうかを判定する難しさを指摘し「政府の人事案提出権を阻害しないか」と疑問を呈している。小坂憲次筆頭国対副委員長(自民党)も「観測記事なのかリークなのか判定は困難だ」と現実的な問題点を指摘した上で批判的な考えを示している。

   一方の民主党は、足元が定まっていない。日経新聞によると、民主党の輿石東参院議員会長は11月1日の記者会見で「それ(国民の知る権利)が犠牲になっているか、いないかは見解の違い。全部、最初から国民の前に明らかにして議論することが公明正大だと一概には言えない」と述べた。日経新聞は「報道規制を認めるかのような発言をし、波紋を広げた」と分析している。毎日新聞の社説も西岡氏が「国会で承認された後に報道されるのが正しい」と言っているとして「『途中経過を国民は知る必要はない』とでもいうような高慢な発想である」と切り捨てている。しかし、小沢一郎代表は「メディアに出る出ないが問題でなくて、自民党の了解さえ得ればもういいという、旧来からの感覚がけしからん」と報道規制が合意の趣旨なのではないという「言い訳」を述べている。

   民主党の衆院国会対策委員会にJ-CASTニュースが取材した。担当者は「合意内容は報道規制ではない。あくまで政府が情報を流出させることを問題視したものだ」と述べた。報道機関に対して「何かをしてはいけない、などとは全く主張していない。観測記事を書く分には自由だ」。しかし、観測記事と確証を得た記事の違いが不明確な場合もあることについて尋ねると「明らかに政府が資料をもらしている、というときに問題だと主張している」という。

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