2024年 4月 27日 (土)

教育再生懇の「ケータイ禁止」 これまでの議論無視した「思いつき」

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規制は、表現の自由の面からも問題

   もっとも、08年に入って、各携帯電話事業者はフィルタリング導入の動きを強めている。未成年の新規加入者と、成人名義の新規契約で使用者が18歳未満の場合は、保護者の申し出がない場合は、自動的にフィルタリングに加入することになっている。06年12月時点では中学生の2割、小学生の4割強がすでに加入しているが、携帯電話事業者は既存契約者についてもフィルタリング加入を進めていきたい考えだ。

   もっとも、フィルタリングが適用された場合、「モバゲー」「魔法のiらんど」などの人気サイトにアクセスできなくなってしまうため、08年4月8日にはフィルタリングの際の安全なサイトを認証する第三者機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」が設立されるなど、業界内での取り組みが進んできたところだ。

   専門家からは、このような状況での「ケータイ禁止提言」への異論も噴出している。例えば

   「ケータイ世界の子どもたち」(講談社現代新書)などの著書がある、千葉大学教育学部の藤川大祐准教授は、立ち上がったばかりの会議から唐突とも思える提言が出てきたことを「これまでの議論を無視している」と批判。これまでの業界の取り組みを続けることが大事だとの立場だ。

「(有害サイトの)一連の問題は、06年頃から、警察庁、総務省、文科省などの機関で対策が検討されてきました。そこでは『ケータイを持たせない』ではなく『持っていることを前提に、どのように対応するか』という方針で進めてきました。これに従って、業界の自主的な取り組みが行われてきたところです。今回の提言はこれらの議論を全く無視したもので、『思いつき』だと指摘されても仕方ありません」

   さらに、藤川氏は「一律の規制は、表現の自由の面から問題」とも指摘する。

「ケータイ小説のような、『ケータイでしか書けない』種類の表現手法も確立しつつあり、その作品の質はともかく、一定の支持を集めています。ケータイを使用禁止にするということは、子どもたちから、このような表現手法を奪ってしまうことになり、表現の自由の観点からも問題です。それ以外にも、ケータイでは問題のないコミュニケーションも行われているはずで、それを十把一絡げに禁止してしまうのも問題です」

   国連の「子どもの権利条約」でも、「意見表明権」という表現の自由に関連する権利が規定されている。表現の自由と青少年の保護とのバランスをめぐって、論議を呼びそうだ。

   提言が盛り込まれた中間報告書は、5月末から6月にまとまる予定だ。

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