2024年 4月 30日 (火)

値上げでも過去最高の儲け マック、山崎パン「快進撃研究」

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   原材料の高騰が影響して食料品や日用品は値上げラッシュ状態だ。消費者の財布の紐が固くなっている中で、山崎製パン日本マクドナルドは2度も値上げしたにもかかわらず、2008年6月期の中間決算では大幅な増収増益を記録した。いったい何が原因なのか。

値上げとともに、マーガリンをバターに変えた

   山崎製パンが08年8月1日に発表した08年6月中間決算では、連結売上高が前年同期比4・4%増の3991億円、営業利益は32・0%増の140億円となった。日本マクドナルドが08年8月7日に発表した08年6月中間連結決算は、売上高が前年同期比5・3%増の2028億円、営業利益は2・6%増の72億円、純利益は約2倍の61億円と過去最高になった。

   山崎製パンは07年12月と08年5月にパンを中心にそれぞれ8%値上げした。マクドナルドは、07年6月に地域別価格制度を導入。東京や大阪などで平均3―5%価格を引き上げた。実質的に約9割の店舗で値上げになり、08年5月にも全店で平均約2%値上げした。

   値段が上がれば消費者の買い控えが起きるのが最近の傾向だが、なぜ、売上げと利益がこれほど上がったのだろうか。山崎製パン広報は値上げ成功には2つの大きな要因があった、とJ-CASTニュースに話した。一つは、価格だけではなく商品の質を上げたこと。具体的には、小麦粉を従来より高級なものを使い、マーガリンだったものをバターに変えた。この戦略は、値上げを消費者に納得させる目的だけではなかった。

   メーカーが値上げをしたくても小売店と合意しないといけない。当然、値上げを断られるメーカーも出てくる。中には、原材料の高騰を吸収するため、商品の質を下げるところも出てくる。質に敏感な消費者は、一度は価格の安い商品に流れても、必ず自社の商品に戻ってくると読んだ。

   もうひとつは、価格戦略。例えば6枚入りの食パンを4枚入りの新しいパッケージでも販売し、買いやすい価格帯に設定。これが好評だったという。

   一方、マクドナルドの広報はJ-CASTニュースに対し、値上げしても好調が続いている原因として、04年から続けてきた積極的なメニュー開発、商品のクオリティーアップ、従業員の接客教育が顧客に浸透していることなどを挙げ、

「値段が上がっても、商品に見合う価格であったり、来店する価値がある価格であることをお客様に納得してもらっている」

と話している。

3度目の値上げは「賭け」になる

   マクドナルドは08月20日から「3度目」の値上げを断行する。全国平均で2.5%程度の値上がりになるのだという。山崎製パンも、08年10月に小麦粉の価格が上がるため、商品の価格を上げせざるを得ない状況にある。山崎製パン広報はこう話す。

「再度の値上げをお客様に納得していただけるかどうか。さらに製品作りの企業努力が必要になっています」

この2社の「値上げ成功」について、三菱総合研究所経営コンサルティング本部の高橋衛主任研究員は、2社ともに業界の最大手だからこそ、価格がコントロールでき、商品のクオリティーも高いため、消費者はそれほど値上を意識しなくてすんだのではないか、とJ-CASTニュースに話した。しかし、3度目の値上げは「賭け」の要素があると指摘、今後には不安も感じているのだという。

「日本は全般に価格が安定している国で、短期間に何度も値が上がることに慣れていない。スーパーの低価格PB(プライベートブランド)も充実し始め、パンが高いからお米が売れるという現象も出ている。3度目の値上げで消費者の気持ちが大きく変わることも予想の範囲なのです」
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