2024年 4月 27日 (土)

「メディアは市長が選別、利用するもの」 阿久根市長と地元新聞社の対立激化

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   「選挙期間中にもブログの更新を続けた」として議論を呼んだ、鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(49)が、今度は地元メディアとの対立を深めている。従来から取材拒否をしている新聞社記者に対して「あっかんべぇ」をしたことを記事で暴露され、市議会で「品位に欠ける」などとして問題化している。一方の市長は、メディア側の取材姿勢を批判した上で、「メディアは利用し、選別するもの」などと、自治体の首長としては異例のメディア観を披露。一歩も引かない構えだ。

「よもや、大人から、このような対応をとられるとは」

   2008年9月に阿久根市で行われた市長選挙では、元市議の竹原信一氏が対立候補を僅差で破り、初当選を果たした。竹原氏は、選挙期間中にブログの更新を続けたことについて選挙管理委員会から注意を受けたが、「総務省の公職選挙法の解釈がおかしい」などと反発。議論を呼んだのは記憶に新しいところだ。

   この「ブログ騒動」をめぐっては、竹原市長は9月1日のブログでも

「夜10時40分過ぎてから南日本新聞社から二人の記者らしきものが来た。
『警察の指導を受けた事を記事にします。』
『有権者にお礼の文章をブログに書かれましたよね。』
いったいどう読めばそういう事になるのか」

などと、地元紙の南日本新聞を非難。3日後の9月4日にも、

「南日本新聞に書きたい放題の記事があった。阿久根市の問題点を無責任に取り上げて、対策まで指図してくれた。阿久根市政の問題点は今までの市長に責任がある。今まで散々斉藤市政にすり寄ってきた新聞社が、今頃になって次の市長予定者にコマゴマと注文をつけるとは、大きなお世話だ」

と書き、同紙への批判を繰り返している。

   一方の南日本新聞は9月13日の紙面で「反撃」。9月1日の当選証書授与式の直前に取材を申し込んだところ、「あっかんべぇ」の仕草で取材拒否されたことを暴露したのだ。記事では、08年6月から取材拒否が続いていることを明らかにした上で、

「広辞苑によると『あかんべ』は、下まぶたを引き下げ、裏の赤い部分を見せて軽蔑(けいべつ)や拒否の意を表すしぐさ。よもや、大人から、新市長から、このような対応をとられるとは」

と、驚きを隠さない。

   この「あっかんべぇ問題」が、10月14日の市議会一般質問で取り上げられ、問題化。複数の議員から「市長としての品位に欠ける」などと批判の声があがった。一方の市長は、「公式の場でやったものではないが、今後はしない」などと答弁しながらも、「一般質問で議論するのは時間の無駄」と反発した。

   取材拒否の真意を竹原市長に聞いてみると、

「以前から権力に擦り寄っていて、非常に取材態度が失礼」

との答え。さらに、「あっかんべぇ」については、

「(あっかんべぇは)市民に向かってやった訳ではないし、私的にやったことを公の場で書かれて、信じられない気持ちだ。公私混同もいいところだ」

と、独自の「公私混同」の解釈を披露しつつ、一歩も引かない姿勢を示した。

   一方、前出の南日本新聞のコラムでは、取材拒否の経緯について

「弊紙の記事を無断引用し削除を求められたことが一因とみられる」

とあり、言い分が食い違っている。

「役に立ちそうなときは『使います』よ」

   もっとも、今回の取材拒否の背景には、竹原市長のメディアに対する独特の姿勢が影響しているようだ。

「『新聞社だから取材に応じろ』というのはおかしい」

という議論はしばしば見受けられるが、竹原市長は「メディアは選別すべきもの」との持論を展開しているのだ。

「あなた方は商用新聞ですよね?商用新聞は読まれるような書き方しかしない。こちらも、こちらにとって役に立たなさそうな時は(取材を)拒否しますし、役に立ちそうなときは『使います』よ」

   竹原市長では、ブログ上でも同様の主張を展開している。例えば、南日本新聞に「反論コラム」が掲載された9月13日の文章のタイトルは「選別します」。内容は、こんな具合だ。

「新聞がすべての事実を表現しようと努力したら読者の興味をそそらず、その新聞社はたちまち倒産する事だろう。概ね客観性よりも情緒的、短絡的な表現をしてくれる新聞が販売部数を伸ばす。商用報道は客の嗜好が命だ。(略)私の目的は阿久根市民全体の向上にある。従って、この目的に協力的な新聞には積極的に協力するし、邪魔をする新聞は拒否する。私から見て報道の影響を考える事の出来ない、頭の弱い垂れ流し新聞屋は危険物でしかない」

   ブログの文面では「商用」という面が強調されているが、竹原市長は

「(公共放送である)NHKについても考え方は同じ」

とも話しており、メディアが独自の切り口や解釈を視聴者や読者に提示すること自体に嫌悪感を抱いている様子だ。

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