2024年 4月 27日 (土)

「正社員の雇用保護は減らすべき」 「封印」されたOECD報告書

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正規労働者と非正規労働者との格差是正を求める

   このような現状に対して、「勧告」されている内容が、国内で議論されている内容とは一線を画したものなのだ。報告書では、「加速する『労働市場の二重化』傾向を反転させる」という見出しが付いた上、(1)雇用の柔軟性を高める目的で(企業が)非正規労働者を雇う動機を少なくするため、正規労働者に対する雇用保護を減らす(2)非正規労働者のコスト面での利点を減らすために、非正規労働者に対する社会保障の適用範囲を広げる(3)人材育成や、非正規労働者の雇用可能性を高める、ことなどを勧告している。

   さらに、OECDは、08年12月にも、日本の若年労働者(15~24歳)についての報告書を公表しており、その中でも

「日本の若者は、日本の労働市場で加速する二重化の影響を大きく受けている」
「期間労働から定職に移行するのは困難で、多くの若者が、不安定な職に『はまり込んだ』状態になっている」

と指摘。そして、この現状に対して3項目が勧告されているが、そこにはこうある。

「正規労働者と非正規労働者との保護率の差を減らし、賃金や福利厚生面での差別的措置に対応する。この措置には、期間労働者に対する社会保障の適用範囲を拡大する一方、正規労働者に対する雇用保護を緩和することも含む」

   いずれの報告書でも、正規労働者と非正規労働者との格差是正を求める内容となっているが、正規労働者側に犠牲を求めるという点が共通している。日本の労働環境にとってはショッキングとも言える内容だが、日本国内の報道と見てみても、報告書について触れた記事は多くない。正社員保護についての論点に触れているのは、せいぜい日経新聞くらいだ。日経新聞のバックナンバーを調べてみると、

「OEDD対日経済審査 女性の就業促進勧告へ」(08年1月22日)

という記事で、報告書を作成するにあたっての途中経過を報じている。このほか、報告書が発表された時には、

「日本の正社員 過保護? OECDが労働市場分析 『非正社員、処遇改善遅れ』」(08年3月5日)

という記事が掲載されている程度だ。

   引き続き雇用情勢の悪化が避けられないとみられるなか、格差問題をどう扱うのかに注目が集まりそうだ。

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