2024年 5月 3日 (金)

スピーチ1本400万円 米国の「演説原稿請負業」事情

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最高経営責任者のスピーチも依頼される

   このスピーチを書いたのは、スピーチライターのポール・オーズラック氏だ。オーズラック氏は01年、クリントン氏が大統領を退任したのと時期を同じくして、他の2人のスピーチライターとともに、「演説原稿請け負い会社」を立ち上げている。このベンチャー企業の社名は「ウエストウイング・ライターズ」。「ウエストウイング」とは、ホワイトハウスの事務棟のことを指す。

   同社のウェブサイトによると、業務範囲は多岐にわたり、基調講演などはもちろん、広告のキャッチコピーの作成や、企業の戦略立案なども請け負っているという。具体的な顧客名は明らかにされていないものの、国連総会や米議会、世界経済フォーラム(ダボス会議)といった「世界の大舞台」でリーダーが行った演説の作成に携わっているほか、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルといった高級紙の記事を準備する過程にも関与したことがあるのだという。

   日経新聞が03年5月に伝えたところによると、同社が、ある米企業の最高経営責任者(CEO)のスピーチ1本を作成するのに対して支払われた経費は、4万ドル(当時は約460万円)。高額にも見える金額だが、スピーチの評判を聞いて「リピーター」になるCEOも少なくないのだという。

   ひるがえって日本企業を見ると、ソニーの安藤国威・元社長が

「井深さん(編注: 創業者の故・井深大氏)の海外出張にお供してスピーチライターをやっていた時代もあるんですよ。よく箱根(神奈川県)の別荘なんかに招かれて、スピーチにお互いに手を入れたりしてね。一介の若手社員が会長の書いたスピーチにどんどん手を入れて、それを認めてくれるんです」(日経ビジネス01年1月1日号)

と、自らの「スピーチライター経験」を明かした例はあるが、国内ではスピーチライターが職業になる日はまだまだ遠いようだ。

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