2024年 5月 3日 (金)

公立小中校「冷房」導入進む 京都のエコモデル校も「授業に集中するため」

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   昔は公立の小中学校の教室に冷房がついていないのが当たり前だったが、最近はそうでないらしい。京都府八幡市は市内すべての中学校の教室に冷房を設置する、と2009年2月19日に発表した。文部科学省によると、全国の公立のうち小学校9.8%、中学校11%が教室に冷房をつけている。冷房をつけた学校では授業を集中して受けるようになった、という声が上がっているようだ。

環境教育の補助金2125万円は返還

   京都府八幡市は市内すべての中学4校の普通教室に2009年4月以降、冷房を設置すると2月19日に発表した。そのうちの1校である市立男山第二中学校は、環境省が指定する「学校エコ改修と環境教育事業」のモデル校に07年から選ばれている。子供たちへの環境教育を行うモデル校は全国で18校ある。

   07年の全国学力テストで市内の中学3年生が国語、数学とも全国平均を下回ったことから、市は生徒が授業に集中できるようにと、設置を決めたという。一方、二酸化炭素を排出する冷房を設置することはモデル校にふさわしくないとして、同省から支給された補助金2125万円は返還する考えだ。明田功市長は「温暖化防止から逃げたと言われてもいい。生徒には涼しい教室で、一生懸命勉強させたい」と話した、という。

   八幡市教育委員会教育部は、J-CASTニュースの取材に対し、

「市議会で決まった方針で、2月19日に記者発表しました。理由とされている学力低下については、発表したことではありません」

と回答。

   市立男山第二中学校の教頭は、「市の決断です」との回答にとどめた。

   環境省はモデル校の期間を3年に設定している。全国を代表するモデル校が途中で止めることについて、総合環境課の担当者は、

「正式に八幡市から届け出は来ていませんが、市の決断なので、コメントすることはありません。途中で止める学校が他にも出ることへの懸念もありますが、今のところ、そのような話は来ていません」

としている。

保護者がお金を出して、冷房取り付ける学校もある

   昔は公立の小中学校に冷房がないのが当たり前だった。ところが、今はほとんどの家庭に冷房があり、子供たちが涼しい環境に慣れて、夏場、気温が上がった教室で体調を崩すことがあるという。それもあって教室に冷房を設置する公立校が数年前から増えてきた。

   京都市は、市内の全小中学校に冷房を完備している。厳しい暑さが続く夏場でも、子供たちがしっかりと学べる快適な学習環境を整えるとして、04~06年に冷房化推進事業を行い、小学校156校、中学校61校にとりつけた。設計から施工までかかった総事業費は小学校が約46億3000万円(13年間分のメンテナンスなど維持費を含む)、中学校が約13億5000万円。市教育委員会の担当者は、授業を集中して受けるようになった、給食の食べ残しも減った、などという声が教師から上がっているという。

   文部科学省施設助成課によると、全国の小中学校のうち普通教室に冷房を設置しているのは、小学校9.8%、中学校11%(07年7月現在)。同省は03年度から、普通教室に冷房を設置するのにかかる費用の1/3を補助金として認めている。補助を受けるには、環境に配慮した空調設備を使用することや、寒冷地では別途条件があったが、より多くの自治体が使えるよう06年度から条件をなくしている。担当者は、「教育環境を改善できるなら、と選択肢の1つとして補助の対象として認めている」と説明。

   残る費用は自治体が負担するが、中には保護者がお金を出して、冷房を取り付けるという学校もあるようだ。

   東京都義務教育課小中学校係によると、23区にある公立小中学校は小学校853校、中学校393校。そのうち普通教室(一部を含む)に冷房を設置している学校は、小学校754校、中学校340校。全館冷房している学校は小学校45校、中学校28校。

   全校の普通教室に冷房を設置している区もある。目黒区は02年7月までに小学校22校、中学校12校に設置。千代田区は01年までに小学校8校、00年までに中学校3校、03年までに幼稚園8園に取り付けた。中央区は1996年までに小学校16校、中学校は1991年までに4校に、新宿区は05年までに小学校29校、中学校11校に完備した。

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