2024年 4月 30日 (火)

生保「変額保険」に急ブレーキ 「撤退」や品揃え見直し

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   変額保険の販売に急ブレーキがかかり、生命保険会社が商品の見直しを始めた。生保大手の一角、三井生命は2009年4月から、変額保険からの「撤退」を打ち出し、また三菱東京UFJ銀行は東京海上日動フィナンシャル生命の変額年金保険の販売をすでに停止している。死亡保険などの売れ行きが低調なだけに、「稼ぎ頭」として伸ばしてきた変額保険のマーケットは、世界的な株安で急激にしぼんでいる。

保険金の支払い準備が重くのしかかる

   三井生命は、変額年金保険と変額終身保険の取り扱いを休止する。変額保険は、2002年秋以降は銀行窓口でも買えるようになった、生保の「成長分野」。それが、リーマン・ショック以降の金融危機で多額の損失計上を負うことになった。変額保険の「撤退」表明は、生保大手では初めてだ。

   変額保険は、契約者から預かった保険料を「特別勘定」で運用して、その成績で受け取る保険金額が変わる商品なので、株価下落などによって元本割れが生じるリスクがある。生保は過去に運用で生じた損失を契約者に負わせて問題になったこともある。その反省もあって、現在普及しているタイプの変額保険は、最低限の保険金額を生保が保証するルールを設けている商品が多い。つまり、生保が損失を負うかたちになっている。

   そのため、生保は将来支払うべき保険金を積み立てている。責任準備金や価格変動準備金といわれるもので、変額保険の「元本保証」による積立金の負担が、生保経営に重く圧しかかってもいる。三井生命が08年4-12月期決算で1060億円の最終赤字を計上したのも、こうした変額保険の責任準備金の負担が足を引っ張ったとされる。

「売りもの」なくなる? 外資系生保も方向転換

   生命保険協会によると、生保44社の08年4-12月期の保険料収入は19兆5122億円で、前年同期比2.6%減った。その主因が変額保険の落ち込み。急激な株安で、変額保険の販売を支えてきた銀行窓販が急ブレーキをかけたのだ。

   ある地銀関係者は、「08年秋以降、変額保険に関する問い合わせやクレームは少なくない」と明かす。販売時にリスク説明はきちんとしているが、「実際に損しているというと、気分がよくないこともあって説明を求めるケースが目立つ」という。そんなこともあって、これまで主力商品だった変額保険の販売を手控えている。

   東京海上日動フィナンシャル生命の変額年金保険「異次元発」を販売していた三菱東京UFJ銀行は、すでに販売を停止している。

   変額保険が「売れない」状況に、生保各社はそれにかわる保険商品を模索しはじめた。「ニッセイ投資型年金」の名称で、元本保証のないタイプの変額年金保険を取り扱っている日本生命は、「変額年金に限らず、商品の品揃えなどを踏まえて見直しはしています」(広報室)という。

   これまで自社の販売ルートをもたず、銀行窓販を唯一のチャネルに変額保険ばかりを売ってきた外資系生保は国内生保より影響が大きく、方向転換を余儀なくされている。その一つ、ハートフォード生命は「これまで通り変額保険も販売しますし、定額年金商品にも力を入れていきたい。商品の多様化は常に考えているところです」(広報部)と話す。

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