2024年 5月 4日 (土)

「北の湘南」北海道伊達市 地価上昇の背景に「セカンドライフ移住」

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   不況の直撃を受けて、地価も下落している。そうした中で、国土交通省が2009年3月23日に発表した地価公示価格によると、16の上昇地点のうち、4地点を占めたのが北海道伊達市だ。全国的に見ても珍しい現象はなぜ起きたのか。

年間1500人以上が転入、世帯数が急増

   北海道伊達市は人口およそ3万7000人。北海道の南西部で札幌市と函館市の中間にあり、内裏湾に面した海沿いの場所に位置する。北海道でありながら雪が少なく、1、2月の平均気温はマイナス4度くらい。四季を通じて温暖な気候に恵まれ、「北の湘南」と呼ばれている。

   ここは、もともと北海道内からの転入者が多い街としても知られていた。伊達市への移住を考える人に向けた、地域情報を提供するサイト「北のスロウライフ」を運営するアップデートの井餘田浩司さんによると、「温暖な気候が気に入り、北海道内で転勤が多かった人の中には、定年後には『伊達に住もう』と考えていた人が多かったんですよ。中には、若いときから土地を買っている人もいたくらいです」と話す。

   伊達市の資料によると、年間1500人以上が転入している。このうち、北海道外からの転入者はここ10年、250人程度。転出者よりも転入者が多い状況が続いている。中でも、ここ3年は世帯数が急増。2005年の世帯数は6.5%、2006年は7.8%、2007年は2.1%とそれぞれ増加した。

   前出の井餘田さんによると、「北のスロウライフ」がオープンした2006年、北海道外からのアクセスが多かったことには驚いたという。「北海道伊達市は全国的には無名です。最初はなぜ、と思いましたよ。北海道内で知られていたのが口コミで広まったり、伊達市がメディアに取り上げられたりしたことが、アクセス増につながったのでしょう」と話す。

移住体験の募集予約埋殺到

   メディアに取り上げられたというのは、伊達市が取り組んでいる「伊達ウェルシーランド構想」だ。高齢者が住みよい街にしようという取り組みだ。たとえば、バリアフリーを施し、24時間対応緊急通報サービスがあるマンション2棟65戸を2005年、伊達市が「安心ハウス」として認定し、不動産業者が売り出した。「安心ハウス」への問い合わせは昨年、400件近く相次いだという。うち、100件ほどが北海道外から。今後、移住者が増えれば、同様の施設を増やすことも考えている。

   また、伊達市は建築条件付きの分譲宅地「田園せきない」への移住者仲介もしている。現在、53区画中40区画は申し込み済みだ。半数は北海道外からだったという。仕事を退職した世代が、セカンドライフを過ごすために購入しているのだ。

   さらに、ユニークなのは移住体験の募集。5物件10部屋の家具付きの賃貸物件で、2週間~1年ほど、短期間住むことができる。2008年は60組近くが参加して、これを機に10組程度が移住を決めたそうだ。2009年度募集を2月に行ったところ、6、7、8月は予約が埋まった。

   伊達市内のある不動産業者は、

「多くの地方で人口減少が続く中、転入者が増え、世帯数も伸びているのは市の取り組みの結果ともいえるでしょう。うちの場合は、年間の不動産の販売数のうち、1割くらいが北海道以外からの移住者です。売り上げにもつながるので、助かります」

と話している。

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