2024年 4月 16日 (火)

ANAに何が起きているのか 繰り返される子会社のストライキ

ANA本体パイロット年収は2200万円

   この背景には、ANAグループ内の「本体」と「子会社」の待遇格差がある。

   4社の組合が、09年4月に行った2度目のストライキに先だって発表した文書では、

「全日空経営は、6年前から経営の都合で子会社を乱立してきました。そのたびに全日空本体の都合の良いような仕組みを関連子会社に持ち込み、好き勝手に経営してきました」

と指摘。その上で、

「全日空本体乗員と子会社乗員の賃金水準は、約3 倍の格差(労働内容や公休数を加味すればそれ以上)があります」

と、給与格差を問題視している。なお、ANAの有価証券報告書によると、08年3月31日時点でのANA本体運航乗務員(パイロット、平均年齢44.5歳)の平均年収は約2200万円。

   4組合のうちのひとつであるエアーニッポン(ANK)乗員組合(福岡市)によると、グループ会社副機長の平均年収は約800万円で、機長でも約1100万円。前出の文書にある「格差3倍」は、やや誇張気味にしても、かなりの待遇差があるのは間違いなさそうだ、

   ANK乗員組合では

「数年前に会社側が、機種によって労働条件を固定する『フリート・アンド・リソース戦略』を打ち出しました。子会社は小型機の運航が中心なので、必然的に労働条件も悪くなります。(小型機よりも労働条件の良い)中型機運航の一定割合を、本体から子会社に移すことで合意されていたのですが、この約束が反故にされたんです」

と、相次ぐストに理解を求めている。一方、ANA広報室では、

「06年のスト以降、同じテーマ・争点での交渉が続いています。すぐに解決できるテーマではありませんが、時間をかけて解決を図っていければと考えています」

と話し、06年以来、経営側と組合側との対立構造が変わっていないことを明らかにしている。

   ANAは09年1月30日、09年3月期の決算が6年ぶりの赤字に転落する見通しを発表したばかり。100億円の経常損失と90億円の純損失を見込んでおり、人件費削減などのコスト削減策を進めていく考えだ。子会社の組合側が主張するような「本社-子会社」の格差が埋めるためには、本体の賃下げか子会社の賃上げしか方法はないが、後者の可能性は低く、今後もストの回数が減らない可能性もある。

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