2024年 5月 3日 (金)

アリコ余波 再発行申し出少なく困惑するカード会社

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   アリコジャパンの顧客情報の漏えい事件で、クレジットカード会社が困惑している。カード会社としては再度悪用されないよう、カードを再発行して会員番号や暗証番号を変更してもらいたい。しかし、変更には強制力がなく、「いま使っているカードでかまわない」という利用者がいるからだ。

 再発行を希望する場合、手数料はアリコが負担

   アリコジャパンは保険業界でもいち早くネット通販の仕組みを取り入れた。医療保険や入院保険など、加入手続きの簡便さと保険料の安さが評判を呼んで契約者を増やしてきた。保険契約者の総数は640万件で、クレジットカード払いの契約者総数は75万件と全体の11.7%にあたる。今回情報流出が疑われるのはそのうちの13万件だ。

   アリコは、流出の対象となっているカード利用者の情報を、カード会社と連携して洗い出すとともに、利用者本人に通知して注意を呼びかけている。

   一方、クレジットカード会社は洗い出している情報をもとに、該当するカード利用者の取引状況を自社の不正検知システムで、24時間365日体制で監視している。なにか不審な取引があれば、すぐに警告を発して利用者を確認する仕組みになっている。

   カード会社側が不正使用の情報をキャッチして、アリコジャパンに連絡した件数は、7月29日の21社、2700件から同31日には2850件と、150件増えた。

   アリコジャパンは8月3日、情報が流出した可能性がある13万人がクレジットカードの再発行を希望する場合、その手数料をアリコが負担すると、改めて発表。不正使用被害の拡大を食い止めるのに懸命だ。

「支払先への変更手続きが面倒だ」

   一般的に、クレジットカードが悪用された場合は、カードの再発行手続き(差し替え)を行って事故の再発を防止する。

   カード大手のジェーシービー(JCB)は、「多くの人は、気持ちが悪いと感じ、変更しています」というが、その際にかかる1000円程度の再発行手数料などはJCBが負担している。また、カード会社によっては不正使用の被害(実損分)を補償するケースもあって、対応は手厚い。

   カードの再発行の際に、利用者がコスト負担を強いられることはない。ただ、JCBや三菱UFJニコスなどのカード会社は「今回のアリコの件で、カード利用者に差し替えを求めることはありません」と口を揃える。

   「差し替え」には強制力がないので、引き続き不正検知システムによる監視強化などで対応していく。あくまでも、「差し替えはカード利用者の申し出による」(三菱UFJニコス)という。

   あるカード会社は「現時点で、目立った動きはありません」と話し、事件発覚後の差し替えの申し出はあまりないようだ。

   とはいえ、カード会社も「再発防止のためにも、できれば差し替えに応じてほしい」というのが本音。アリコのような情報漏えい事件が起こるたびに、カード会社はネット決済にかかわるセキュリティの強化を求められるなど、周囲からの風当たりが強まるからだ。

   カード利用者が「差し替え」を拒む理由は、通販にカード決済を利用するケースが増えているためで、「カード変更に時間や手間がかかって、利用したいときに利用できない」「支払(決済)先への変更手続きが面倒だ」といった理由が多い。情報漏えい事件などが起こると、そのときは利用を控えたりするが、結局は便利に使ってしまうようだ。

   あるカード関係者は「カード会社の補償サービスが充実していて、利用者が安心しきっている」ことが、差し替えが進まない原因とみている。

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