2024年 4月 18日 (木)

日本は「老人政党」ばかり 若者目線によるマニフェスト発表

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   20代と30代の政治家や研究者、官僚などでつくる「ワカモノ・マニフェスト策定委員会」は2009年8月11日、若者と高齢者の「世代間格差」を克服するための政策をまとめた「ワカモノ・マニフェスト」を発表した。労働・雇用や財政・社会保障など4つの分野について、若者の目線による政策を提言した。

高齢者の意見反映されやすい「シルバーデモクラシー」になっている

記者会見にのぞむ「ワカモノ・マニフェスト策定委員会」のメンバー
記者会見にのぞむ「ワカモノ・マニフェスト策定委員会」のメンバー

   ワカモノ・マニフェストを作った理由について、同委員会の高橋亮平さん(市川市議会議員)は

「今回の衆院選では世代間格差の問題が争点になっていないが、将来にわたり持続可能な社会にしていくためには、未来に責任ある若者世代の声を政治に反映させていく必要がある」

と説明。約10人からなる策定委員会が、「労働・雇用」「財政・社会保障」「若者参画」「家庭・教育・子育て」の4分野について、具体的な政策を提案した。

   労働・雇用の分野では、「高度成長時代につくられた年功序列と終身雇用を維持するために、若い世代や非正規雇用にしわ寄せが押しつけられている」と現状を認識したうえで、「正社員を含めた人材の流動化」を提言。そのための政策として、労働条件の「不利益変更」と解雇ルールを明文化するよう求めた。また、いったん非正規社員になると正社員になるのが難しい現状を改善するため、大手企業に対して「非正規雇用からの採用枠」を義務づけることを提案している。

   若者の政治参画については、少子高齢化の進展と若者の低投票率によって、高齢者の意見が反映されやすい「シルバーデモクラシー」の傾向が強まっていると指摘。長期的な視点で政治をおこなうために、若者の意見を立法や政策決定に取り入れることを義務づける「若者参画基本法」が必要だと訴えた。具体的には、若者政策担当大臣の設置や16歳選挙権の導入によって、若者政策を確実に実行していくことを求めている。

「世代間格差に本気で取り組んでいる政党はない」

   衆院選を直前に控え、同委員会は「世代間格差の解消」という観点から、自民や民主など主要6政党のマニフェストを評価し、その結果を発表した。しかし、どの政党も上記4分野の平均点が40点以下(100点満点)と厳しい評価にとどまった。民間シンクタンク研究員の小林庸平さんは

「本当の意味では世代間格差の縮小に取り組もうと考えているマニフェストはない。政策以前の問題として、格差解消に向けたビジョンが示されていない」

と批判した。報道関係者が「既存政党は『老人政党』というべきではないか」とたずねると、高橋さんは、

「マニフェストだけを見れば、それに近いようなものがあると思う。われわれ若い世代が格差解消のための具体的な政策を提言したり、政党マニフェストを評価したりすることで、そのような声が政党にも伝わり始めるのではないかと考えている」

と話した。

ワカモノ・マニフェストの要旨

■ 労働・雇用
1 人材市場流動化のため、労働条件の不利益変更と解雇ルールの明文化
2 大手企業への非正規雇用労働者からの採用枠義務づけ
3 流動化前提での、同一労働同一賃金の法制化
4 雇用調整助成金の廃止
5 退職金優遇税制の廃止
6 全労働者対象の、再就職訓練と雇用保険のセット

■ 財政・社会保障
1 世代間格差を是正するため、世代間公平に冠する基本法を制定
2 社会保障の受益と負担の調整を担う独立機関の設置
3 受益水準やベース財源(公債除く)を政治が決定し、社会保障予算をハード化
4 世代間公平の観点から、社会保障に事前積立を導入
5 公債残高の対GDP比引き下げのため、消費税などを増税

■ 若者参画
1 ユース・デモクラシー政策を包括する若者参画基本法を制定
2 若者政策全般を確実に実現するための若者政策担当大臣を設置
3 16歳選挙権の実現と被選挙権年齢の成人年齢への引き下げ
4 参議院への世代別選挙区制度の導入
5 義務教育への政治教育の導入

■ 家族・教育・子育て
1 若者向け社会保護支出の対GDP比を引き上げ
2 給付つき税額控除などによって子育て世帯への再分配を強化
3 公教育の立て直し
4 仕事と育児の両立支援・ワークライフバランス施策の推進

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