2020年 9月 23日 (水)

テレビがなぜ「新聞再販」報じないか 民主新政権のマスコミ政策に注目
(連載「テレビ崩壊」第10回<最終回>/ビデオジャーナリスト・神保哲生さんに聞く )

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新聞社は放送局を持つことで、権力の影響を受けやすくなっている

――そういえば、記者は会見や懇談以外にも、公務員の自宅に「夜回り」することでネタを取ることが重要だとされています。

神保 民主党は、公務員と政治家との距離について一定の制限を設ける、という考えを示しています。これは、癒着を防ぐことを狙いとしたもので、「会うことを禁ずるか、会った場合は、会ったことを記録して情報公開する」という方針です。同じことが、記者と公務員についても言えるはずです。公務員が非公式の場で記者に会って特権的な情報を与えることは、あってはならないことです。公務員が夜回りを受けるということは、完全に公務員法違反ですよ。記者はちゃんと会見で聞きなさい、ということです。

――中々、「会見が開放されて良い」という、一般的に言われているような簡単な話ではないようですね。

神保 これまで会見に入れなかった記者たちが会見に入れるようになるのは、いいことですが、その結果会見に入れるということの価値は下がります。特権ではなくなるわけですから。だとすると新しく入ってくる人たちにとっては、価値が下がったものへのアクセスが可能になるだけということになります。その意味では、新しいメディアが新規参入したとしても、それだけで採算が取れるような事業計画は描けないでしょう。ただし、「会見-懇談-夜回り」という一連の流れが無くなれば、会見の質は非常に上がるかも知れません。それは、新しく会見に参加する記者の勉強量や意欲にかかってきます。会見できちんとした質問をするためには、普段から継続的に取材して、勉強していないとダメですよね。それで初めて「クラブの外から記者が参加するようになって、会見が活性化しましたね」となると思います。

――現状のメディアを取り囲む問題として、記者クラブ問題の他に、(同一資本がテレビと新聞の両方を保有する)クロスオーナーシップを挙げています。何が問題なのでしょう。

神保 本来は再販問題の利害当事者ではないはずのテレビが、クロスオーナーシップのせいで、再販問題について報じられなくなっています。テレビが完全に利害当事者になってしまったんです。
逆に、新聞社が権力に弱い放送局を持っていることで、権力の影響を受けやすくなってしまっている。クロスオーナーシップは多くの先進国で禁じられているのですが、その理由は「言論多様化の妨げになる」からです。日本では「テレビ局をやろうとすると、新聞社と組まないと明らかに不利」ということで、クロスオーナーシップが組み合わさった結果、5大紙にテレビ5系列が存在しています。このような状況では、例えば朝日新聞とテレビ朝日とで根本的に立ち位置が違うような状況が生まれるはずがありません。他系列も同様です。この時点で、本来は10あるべき言論が、5になってしまっている。
 メディアというのは、特別な存在です。何か世の中に問題が起こった場合、それをメディアが伝えるからこそ、「世の中が、それを許容しない」ということが起こる。一方、メディア自身が、自分の行為を「すみませんが、自分はこんな良くないことをやっているんです」とカミングアウトすることはありません。唯一、この状況を正す方法は、メディア間での相互批判を担保することです。例えばNHKが民放を、雑誌が新聞を、新聞がテレビを批判する、といったように。ところが、クロスオーナーシップで、「新聞-テレビ」という最も影響力のあるメディアによる相互批判が失われています。「再販問題をテレビが全く報じない」というのが、その典型です。
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