小泉内閣発足直後に創刊され、8年半にわたって配信が続いている内閣メールマガジンに、異変が起きている。政権交代にともなって読者登録をいったん「リセット」したため、読者数はピーク時の9分の1に激減。加えて、原則木曜日発行だったものが、「国会対応のため、鳩山総理の原稿の準備が遅れている」として、2週間連続で発行が遅れるという前代未聞の事態なのだ。メールマガジンが創刊されたのは、2001年5月。ピーク時は登録者数約227万件に達し、06年9月の小泉首相退任後も、安倍・福田・麻生内閣で発行が引き継がれた。「鳩山総理の原稿の準備が遅れております」2週連続の配信遅延は前代未聞だ(写真は配信遅延を知らせるメール)安倍・福田内閣では登録者数は減少の一途だったが、麻生内閣では若干持ち直し、08年12月の段階では、登録者数は150万を超えていた。政権交代後もメルマガの発行自体は引き継がれたものの、発足2日後の9月18日には、自民・公明政権時代のメルマガ読者に対して「継続して内閣メールマガジンの配信を希望される場合は、下記リンク先をクリックしてください」とのメールが送信された。自・公時代は、内閣が交代しても登録は自動更新されていたが、政権交代を受けて、読者に対して登録のやり直しを求める内容だ。このため、内閣官房内閣広報室のメルマガ担当者によると、現在の登録者数は約26万件と、ピーク時の9分の1程度に激減。民主党政権では、自公政権時代と比べてメルマガの影響力が大きく低下した形だ。メルマガの内容にも異変が起きている。10月1日朝には、鳩山首相のコラム「ゆう&あい」と、大臣の就任あいさつが掲載された「創刊準備号」が配信され、翌週の10月8日にも、同様の内容の「創刊号」が配信された。ところが、10月15日配信の第2号には、やや異変が起き、「読者の皆様には、配信時間の登録をお願いしたところでありますが、今週号から配信開始時間を木曜日午後とさせていただきます」との但し書きが登場。当初は配信時間を選べるようになっていたが、実際は夕方の配信となった。さらに、第4号が配信されるはずの10月29日には、夕方になって、「内閣広報室からのお知らせ」とのタイトルで、「本日配信予定としておりました鳩山内閣メールマガジン第4号でございますが、国会での代表質問への対応のため、鳩山総理の原稿の準備が遅れております。大変申し訳ありません」というお詫びのメールが配信された。実際に第4号が配信されたのは週明け月曜日の11月2日午後で、実に4日遅れだ。原稿の執筆が鳩山首相にとって負担?さらに、その次の号の発行日にあたる11月5日夕方にも、「本日配信予定としておりました鳩山内閣メールマガジン第5号について、総理も気にかけているのですが、先週に引き続き、国会対応のため、鳩山総理の原稿の準備が遅れております。大変申し訳ありません」とのメッセージが配信された。歴代内閣のメールマガジンでも、正月、夏休み、ゴールデンウィークには休刊になることがあったものの、「原稿が間に合わない」という理由で発行スケジュールがずれ込むのは異例。さらに、2週連続というのは前代未聞だ。発行が遅れている原因になっている鳩山首相のコラムの長さは、最近では1200~1300字程度。前出の内閣官房の担当者は、「総理の原稿は官邸の秘書官から回って来ますが、総理が自宅で、ご自分で作業をしていると聞いています」と話しており、これが本当だとすれば、原稿の執筆が鳩山首相にとって、それなりの負担になっている可能性もある。発行が遅れている第5号の配信は、週明け月曜日(11月9日)以降になるという。11月4日には「首相官邸ブログ」がオープンして話題を呼んだばかりだが、現段階のコンテンツはメルマガからの転載記事のみ。メルマガの配信遅延が常態化するようであれば、官邸の情報発信能力が問われることにもなりかねない。
記事に戻る