2024年 4月 27日 (土)

「総量規制」の余波で カードのキャッシングなくなる?

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   「実施か」「延期か」――。2010年6月までの実施が予定されている改正貸金業法の「総量規制」が揺れているなかで、クレジットカード会社が総量規制の実施をにらんで、収益源の一つであるキャッシングサービスの廃止・縮小に動いている。

   「総量規制」は無担保カードローンを利用する場合、利用者一人あたりの借入総額が年収の3分の1を超えないようにする規制。それによって悪質な業者を排除し、かつ多重債務者をなくすのが狙いだ。

   しかし、この規制を実施すると、お金を借りたくても借りられない中小・零細企業や個人事業主が増え、お客が結果的に「ヤミ金」に流れるとの指摘がある。利用者の不満もくすぶっていて、こうしたことが総量規制の「延期論」が浮上した背景にある。

ヤミ金の利用拡大を懸念、「延期論」も

   2009年11月3日、大塚耕平金融副大臣は2010年6月までに完全施行される改正貸金業法について、「延期も含め見直しの議論をはじめる必要がある」との認識を示した。法律が成立した3年前とは経済状況が大きく変化したため、「予定どおりでいいのか、議論する」と話した。

   ところが、その翌4日に亀井静香郵政・金融担当相が「予定どおりの実施」を明言。金融庁も「議論はするようだが、具体的にはこれから」といい、実施するのか延期なのかはわからない。

   そうした中で、「総量規制」の実施が半年後に迫り、「準備を進めておかないと実施となった場合、間に合わなくなる」(大手カード会社の幹部)段階にある。

   個人信用情報センターとのアクセスのためのシステム投資だけで数10億円が必要というし、法施行後はお客から定期的に年収証明書を提出させるなど、手間がかかるので、低金利で採算ベースに乗らない小口のキャッシングサービスなどは廃止・縮小していく兆しにある。

   三井住友カードは10月から、キャッシングのうち、借り入れた翌月に一括返済する制度を廃止した。同社は、「貸金業者の、毎月の返済額を年収の36分の1以内に収める自主規制を遵守したため」と理由を話す。この自主規制は日本貸金業協会が「総量規制」を踏まえて別途定めたルールだ。

キャッシング「一括返済」なくなる

   たとえば、30万円を借りた翌月に全額を一括返済にすると、この自主規制に抵触する人が現れる可能性がある。そのため、三井住友カードは一括返済を廃止して、後日お客が自ら行う「繰り上げ返済」で対応できるようにした。

   これは他社に先がけたもので、日本貸金業協会に加盟するカード会社は今後同様の対応を迫られることになる。つまり、キャッシングから「一括返済」という選択がなくなるわけだ。

   また、すでにトヨタ自動車の金融子会社のトヨタファイナンスやJR東日本のビューカードはカードのキャッシング機能を廃止した。ある大手消費者金融の幹部は、「総量規制が実施されればデフォルト(事故)件数が増えそうなので、キャッシングを止めるところは増えるだろう」とみている。

   カード会社はここ数年、キャッシングをショッピングとともに収益の柱に育ててきた。「廃止」となると、収益への影響が大きいため、そう簡単ではない。あるカード会社の関係者は、「トヨタもJRも、もともとショッピングが中心でキャッシングの利用が少なかったから思いきって(廃止)できた」と話している。そのカード会社は「現時点でとくに見直しは考えていない」というが、キャッシングもできなくなるとお金はますます借りにくくなる。

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