2024年 5月 22日 (水)

新聞猛反発の「クロスメディア規制」 「制度のあり方を検討」

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「クロスメディア所有の議論が広がるきっかけになる」

   2010年に入ってから原口総務相が何度か口にしてきた「クロスメディア所有の規制」も放送法改正案に明記されることになった。もっとも、こちらは規制そのものが法定化されたわけではなく、「3年以内に制度のあり方を検討し、必要があれば所要の措置を講ずること」が附則に盛り込まれたにとどまる。

   クロスメディア所有規制はもともと、同一資本が新聞とテレビの両方を支配することを防ぐための制度で、欧米先進国の多くで法制化されている。日本でも総務省令のなかに条文があるが、ほとんど意味がない「ザル規制」だった。だが、原口総務相は

「プレス(新聞)と放送が密接に結びついて言論を一色にしてしまえば、そこには多様性も、民主主義のもとである批判も生まれない」(1月14日の講演会での発言)

との考え方から、クロスメディア所有を法律で規制することを検討。有識者による研究会で議論してもらっているところだ。

   しかしこのような新聞とテレビを分離させるような制度に、新聞業界は猛反発している。3月1日に開かれた有識者研究会「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」では、日本新聞協会メディア開発委員会の大久保好男委員長が、

「長引く不況やICTの発展により全国の新聞・テレビ・ラジオの経営が厳しい状況に陥っている。地方放送局の基盤を強化するため、経営の選択肢が広がるように、クロスメディア所有の規制は緩和・撤廃こそが議論のあるべき方向だ」

と訴えた。その研究会では、記者クラブ制度についての見解を述べることは拒否する一方で、クロスメディア所有の正当性のみを強調。「業界のエゴ丸出し」ともいえる反応だったのだ。

「新聞とテレビのクロスオーナーシップ(=クロスメディア所有)のために、日本では50年間も、米国のCNNのような影響力のある新興メディアが生まれなかった」

というビデオジャーナリストの神保哲生さんは

「附則でも、クロスオーナーシップのことが法律の改正案に入ったことは『記者会見での大臣の発言よりも、さらにオフィシャルなものになった』という点で大きい。今までクロスオーナーシップの問題はほとんど議論されてこなかったが、これをきっかけに広く認識されるようになることに最大の意味があると思う」

と話している。

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