2024年 4月 26日 (金)

朝日新聞今年春に「電子版」創刊  「紙媒体離れ」加速防げるか

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朝日新聞は2011年春にも電子版を創刊する
朝日新聞は2011年春にも電子版を創刊する

   朝日新聞が2011年春にも有料の電子版を創刊することが分かった。日本経済新聞が、日本の新聞業界としては初の有料電子版の創刊に踏み切って約10ヶ月。すでに有料読者数が10万人を突破するなど、当初の予測よりは好調だとされ、朝日もこれに追随する形になる。

   ただ、新聞社にとって電子版の充実は、「紙媒体離れ」につながりかねないだけに、販売店対策が電子版成功へのカギになるようだ。

日経の電子版の有料会員は10万人突破

   2010年3月23日に創刊された日経の電子版の有料会員は4月下旬に6万人を突破。10月にアイフォーン(iPhone)に対応してから加入のペースが上がったといい、10年12月には、10万人を突破した。

   料金プランは、電子版のみを月額4000円で購読するプランと、紙媒体プラス1000円で紙媒体と併読するプラン(朝夕刊セット版地域では月額5383円)の2つ。日経の発表によると、有料会員の6~7割が併読プランを契約しているという。

   ここで問題になるのが、電子版の購読をきっかけに、紙媒体の購読をやめてしまうケースだ。紙媒体の部数が減少すると、販売店の経営を圧迫するほか、新聞社の販売収入・広告単価の減少にもつながるからだ。

   日本ABC協会の「新聞発行社レポート」によると、09年7月~12月の日経朝刊の平均部数は305万0277部なのに対して、電子版創刊後の期間を含む10年1月~6月は303万2703部。1万7500部(0.6%)ほど減少している。この中には、前出のような「紙媒体から電子版に切り換えた」読者も、ある程度含まれているとみられる。

販売店も電子版で新たな収入を得ることを期待

   朝日新聞も、同様のビジネスモデルを採用する模様だが、販売店を相当意識している。 秋山耿太郎社長は11年1月4日に行われた社内向けの新年祝賀会で、11年春にも電子版を本格展開する考えを明らかにしたが、

「全国の販売網を担っていただいている(販売店の)ASAの皆さんとご相談し、協力していただけるとの見通しが得られるならば」

   としている。朝日は日経に比べて専売店の比率が高いため、日経よりも電子版創刊の影響が大きいことが背景にあるものとみられる。

   ビジネスモデル自体は日経とほぼ同じで、電子版のみのプランと紙媒体との併読プランを用意。電子版の読者データを販売店と共有するほか、電子版の購読料の一部を販売店に配分する。

   朝日新聞関係者によると、販売店側も、この対策を好意的に受け止める向きが多いという。ここ数年、新聞社から販売店に配分されている補助金が大きく減らされている上、大きな収入源である折り込みチラシも減少の一途。販売店からすると「ジリ貧」だったが、電子版で新たな収入を得ることができ、「渡りに船」になる形だからだ。

   ただし、前出の「新聞発行社レポート」によると、10年1月~6月の朝日新聞の朝刊部数は795万5595部で、ついに「800万部割れ」。これは、大阪本社と西部本社管内の販売店が抱える過剰予備紙、いわゆる「押し紙」を整理したことによるもので、11年以降、他本社でも同様の施策を行う方針を掲げていることから、さらに部数が減ることは確実で、紙媒体から電子媒体へのシフトが加速しそうだ。

「詳細についてはまだ公表できる段階ではありません」

   朝日新聞社広報部では、

「2011年春にもデジタルニュースを本格的に有料配信する方向で検討していますが、詳細についてはまだ公表できる段階ではありません。朝日新聞は『紙もデジタルも』を目指しており、全国の販売店に納得してもらえるビジネスモデルを構築しているところです」

   とコメント。J-CASTが同社に送った質問状には使われていない「販売店」という単語がコメントに盛り込まれていることからも、販売店対策を重要視していることがうかがえる。

   日経に続き朝日が電子版創刊に踏み切ったことで、読売新聞や毎日新聞がどう出るかが注目される。

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