2024年 4月 25日 (木)

原子力と放射能の基礎知識/連載(3)放射性物質と被ばく食品の関係 
日本原子力学会異常事象解説チーム・二ツ川章二管理本部長(日本アイソトープ協会)

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   日本原子力学会の異常事象解説チームの連載第3回は、日本アイソトープ協会の二ツ川章二氏が、放射性物質と被ばくした食品の関係について説明する。

――天然の水、土、空気の中にはカリウム-40、炭素-14、ウラン-238等の放射性物質が含まれています。これらの自然放射性物質は、私たちが普段食べている食品の中にも含まれています。例えば、牛乳は約50ベクレル/キログラム、野菜は96~200ベクレル/キログラム、魚・貝・海草であれば7~150ベクレル/キログラムの放射性物質を含んでいます。

   私たちは、食品とともに体内に入った放射性物質からの放射線の内部被ばくで、これら食品から年間約0.3ミリシーベルトの被ばくをしています。

1年間食べ続けても健康影響出ない量

   福島第一原子力発電所事故に起因した放射性物質が付着した野菜が国の暫定基準値を超えたとして出荷停止され、また、一部地域の水道水の摂取が制限されました。現在の暫定基準値は、そのレベルの放射性物質が含まれた食品を1年間食べ続けたとしても健康影響が出る心配のない量に設定されています。ヨウ素-131では、牛乳・乳製品が300ベクレル/キログラム、飲用水が300ベクレル/キログラム、ホウレンソウ等の野菜類が2000ベクレル/キログラムとなっています。

   上記の野菜等に含まれている天然放射性物質の量と比べても著しく高いものではありません。実際には1年間食べ続けることはなく、仮に暫定基準値を超えた食品を口にしても直ちに影響が出ることはありません。

   放射線を大量に被ばくすると、血液中の白血球数が減少することが知られています。一度に250ミリシーベルト以下の被ばくでは白血球は減少しません。同じように1000ミリシーベルトの被ばくでは、吐き気、嘔吐、リンパ球の著しい減少等が現れますが、それ以下では現れません。このように限界値(しきい値)を超えると現れるような影響は、いろいろな個人差を考慮しても100ミリシーベルト以下では現れないとされています。「直ちに健康に影響が表れるものではありません。」は、このことを表現しています。

「基準値、喫煙・ストレスに比べ十分低く設定」

   一方、放射線の被ばくによる発がんの影響は、受けた放射線の量が増えるに従ってがんの発生する可能性(確率)が高くなります。100ミリシーベルトを全身に被ばくした100人のうち、それが原因でがんが発生する人は約0.55人とされています。自然のがんの発生率が約30%ですので、100人の集団の全員が100ミリシーベルト被ばくすることにより、がんが発生する人数が30人から30.55人になります。

   100ミリシーベル以下ではがんの発生確率が増加することは確認されていませんが、どんなに少量でもがんが発生するかもしれないとして、被ばく線量とがんの発生確率は直線的に増加するものとして基準値を設定しています。

   現在の基準値は、人体に対して直ちに影響が出ることは考えられなく、がんが発生するとしても、一般的に言われている喫煙、ストレス等によるがんの発生する確率と比べて、十分低く設定されています。

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